”寿しの吉乃” 抜群に美味しいと言わざるを得ない美味しさ(名古屋市中区丸の内)

名古屋の知人から誘われてぶらり出かけた週末。私は名古屋は好きな街で、食べ物も値頃なもので溢れているし、お土産物のレベルもとても高いと思っています。また、和洋菓子にも美味いところが一杯で、名古屋高島屋などには愛知だけでなく、岐阜県あたりの美味しい店が出店していて名古屋駅1キロ周辺で、おおよそお土産は手配できるので助かります。


もちろん、高価なお店もたっぷりあるのですが、鰻の上手い店や味噌とんかつや、駅前のマルナカ食品センター中の天ぷらとか丼もので満足することが多いと思います。それはそうで、この“ゾーン”には名選手がひしめき合っていて、いわゆる“名古屋めし”と言うやつに馴染むとそこから抜け出るのが大変です。

「予約の取れない寿司屋に行こう」と言われて

そんな名古屋の知人から“予約の取れない寿司屋の予約が取れたから行こう”と誘いを受けました。私は正直、“予約の取れない”という言葉が嫌いで、なにか勿体ぶって嫌味だと感じるへそ曲がり気質ですが、反面そんなところは美味しいのだろうなと言う程度の想像力はあるので、誘いに乗る事にしました。食事時間は18時だったので、それまでの時間をヤマザキマザック美術館やノリタケの森を廻っていましたが、遅めの昼食で空腹も感じない状態で約束のお店に足を運びました。

確かに言われるだけのことはあると納得の美味しさ

名古屋の街中と言うのは、そのディープな街文化とは反対に、味も素っ気もない通りが多く、待ち合わせの“寿しの吉乃”と言う看板も大きなマンションビルの横にあって、気が付かないロケーションにありました。私は存じ上げませんでしたが、実はこの店、全国でも有名な店らしいのですが、そんなことは考えもせずに店内に入りました。

店内は一目で愉快なほど“こだわり”だらけなのが分かります。大きめの氷室型の冷蔵庫が目立つところに設置され、奥に銅製の釜がありましたし、備え付けられている椅子も中々のものです。若い御主人も嫌味がなく、爽やかな印象で、ここまではまずまずの始まりです(上から目線ですが)。

で、食事が始まりますが、これが実に美味しい。私は食事の印象を聞かれて“美味しい”としか言わないのは失礼だとは思うのですが、美味しいとしか言いようがないほどでした。私はネタもシャリも真っすぐな寿司が好きで、あまり創作的なものは合わないのですが、その意味では此処の寿しは大いに創作的です。例えばキャビアやマンゴーや奈良漬けなど、おおよそ鮨には使わない材料で組み上げているのですが、これがとにかく美味しい。こんな素材の組み合わせがこんな味になるのかと目を白黒していると後半は、正攻法で私の好きな構成となる。

とにかく、あっという間の時間が過ぎ去りました。私には全ネタが完璧に感じました。唯一、最後のアイスクリーム? それまでが凄かったので、デザートのアイスクリームにはちょっとがっかりはしましたが。

名古屋に行ったら寿し吉乃と思わせる楽しさ作り

“寿司屋で値段もそこそこなら美味しくて当たり前”。そういう人もいて、ある意味本質を言い当てているのですが、この店は単に寿司を出すのではなく、目や耳でも楽しませてくれます。まず器が良い。それぞれのネタに合わせたような絶妙な器を次々に出してくれるので、器好きな人間にはそれだけでも高揚感を味わえます。寿し造りの工程も、全て見せることを前提に行っていて、まるで茶道の所作を観ているように感じます。終始御主人を始めお店の方の接客に、柔らかさと暖かさがあり、最後には、“まあ、これならば予約が取れない”っというのはあるだろうと納得し、店をあとにしました。

 

 

思い返すと、とにかく美味しかったこと。楽しかったこと。寛げたことしか浮かんできません。今回は知人が食事代を出してくれたのですが、今度は身銭で楽しみに来ようと思います。ああ、予約が取れないんだっけ。(写真の一部は寿し吉乃さんのHPから引用しました)

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