日本の銀行の忘れ物。金利と謙虚と職業倫理と言われないために

日本の銀行。その異常な体質と特別意識

かつて銀行は市民の生活に欠くべからざる存在でした。“晴れているときに傘を貸して 雨が降ってきたらとりあげる”などと揶揄されたこともありましたが、それでも現在の銀行と比べればはるかに役に立つもの。利用者から見れば信頼に足るものであったことは誰もが認めることでしょう。しかし1990年以降銀行は日本社会に於いて癌のような存在になり、その体質異常は今後大きな社会的悪影響になってゆくことが、ほぼ確実化しています。

今の若者に「銀行にお金を預けると利子が返ってくる」というと、皆一様に驚くのですが、ここまでくると、もう悪い冗談にもならないことでしょう。

銀行と金利について、知っておくべき事

そもそも四半世紀以上に亘って、お金を預けても金利のつかない組織を“銀行”と呼ぶのが適確かと問われれば、否としか言いようはないのではないかと思います。すこし対銀行の収支について考えたいと思います。銀行金利では定期と普通預金があり、定期のほうが金利が高いのは当然です。ところが今はそれが逆転していることも珍しくはありません。お金など預けても金利はつきませんし、自分の預けたお金を引き出すのも時間外だと法外な手数料がかかります。極め付きはあのATM。
朝9時前から17時過ぎまでの期間でないとATMを使うのに驚くほど大きな“手数料”がかかります。朝8時45分から17時過ぎなんて、サラリーマン層狙い撃ち以外のなにものでもないでしょう。

且つて銀行金利は6~7%が当たり前。一時10%を越えていた時期もありました。それが今のようにゼロ金利になったのは20世紀末のバブル崩壊の後始末。金利が意図的に悪者にされたのを皮切りに、銀行の不祥事の解決に膨大な公金がジャブジャブと流れ込みました。金利は果てしなくゼロになりましたが、その後銀行が空前の利益をあげるようになってからも、銀行側の政治的手法が功を奏したのでしょう金利が回復することはなくなりました。現在の金利は0.001%などと平気で言いますが、このような数値は単なる既成事実であって、利子とは言いません。

 金融工学や金融商品という名の詐欺まがい行為の横行

また、最近では天下の大銀行が詐欺まがいの貯蓄勧誘が盛んになりました。「銀行自体が巨大な詐欺組織だ」という方もおられますが、それに反対する根拠はなかなか見つからないのが現状です。
例えば「○○預金 年利率5% (小さく)3か月もの」などの記載があると、普通はここにお金を預けると5%の金利がつき、3か月ごとに更新できると思いますが、実際は金利5%が3か月分は、5%の4分の1を意味して1.25%、あとは想定よりも低い金利になったりして、ここから税金で持って行かれると、結局は超低金利と同じレベルになってしまいます。実に巧妙なのかも知れませんが、大のおとなが寄ってたかってこのような詐欺商法まがいを考えているのですから、巧妙というより異常な行動だと言えるでしょう。今の銀行はこのように、“まぎらわしい”“嘘ではないが、誤解をさせる”などの追求に余念がない状態であると言えますので、先の指摘があっても当然かもしれません。

私の経験では先進諸国でこのようなことが許される国は他にはありません。そこには日本人の銀行に対する考えが“銀行様”的なものが残っているのだと思われますが、外国資本の銀行は危ないなどという嘘はもう通用しなくなってきています。日本国民の一定数が銀行に対する信頼を失墜する時はすでの目前に迫っており、すでに「金利も謙虚さも職業倫理」も失いかけている銀行が、その事実に気づくのにはまだまだ高い障壁があるのだと思います。

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