IRとMICEが日本を変える
IR、統合型リゾート(Integrated Resort)については、新型コロナの流行以降、少し機会が減ってきていますが、様々な場所で地域ミーティングや専門家会議なるものが開催されています。IR自体、「統合型」の「リゾート」なので、MICEと言われる、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)などの機能があり、それぞれが同じウェイトで意見の吸い上げとなるのですが、実際には、その規模も役割も小さいはずのカジノばかりが大きく取り上げれらます。それも批判の対象として。
私は個人的には是非とも大阪で実現してほしいと考えています。その理由は国際的な大きな催し、先のMICEのようなものが可能となることで、東京一極集中を少しでも修正することに繋がるからなのです。例えばある会議に用意された資料に紹介されている企業の会議や研修旅行、国際会議や展示会のシミュレーションだけでも、国の内外から関西への大きな人の潮流が見られ、これは何も大阪だけへの流れではなく、西日本全体に影響します。こうした流れがあって始めて、官僚制度や公務員改革、地方改革が現実味を帯びてくるので大変期待が持てます。
IRとカジノを混在させ混乱させる意図的発言
しかし、往々にしてある段階になると必ずといってよいほど、カジノが取り上げられます。彼らは意見を交わすのではなく持論を展開するので、そうなると言いたい放題の場になってしまいます。何度かそんな場にいると、それらの人の発言の主旨が変に似通っていて、ある種の“背景”でもあるのではないかと感じます。少し以前の地域ミーティングでは、その典型であったように思いますので、その主旨を順に羅列すると以下のようになります。
「安倍首相はトランプ大統領と結託して、日本をアメリカのカジノ業者に売り渡したとしか言いようがない」…早速、安倍首相批判が出ます。彼は支持率が低迷していた安倍首相がトランプ大統領に“媚へつらうために”大手カジノ業者ラスベガス・サンズのS・アンデルセン会長と頼ったという背景があると言います。
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「カジノには、客を破産させるシステムがある。アメリカのカジノ企業は日本人の資産を喰い尽くしたいからだ。もちろんギャンブルあるところには買春もあるので、日本人女性がその対象となる。マフィアも介入してくるし、それを見て育つ子供達に悪影響を与える」…自分はカジノを知っているのだと発言者は言います。日本にカジノは必要がないことを強調したかったと言っていました。
「昨年、マカオでカジノを見てきたが、その規模にはとても太刀打ちできない。レートの問題もあり、また同規模のカジノをいくつも作ることはできない」…私はマカオのカジノを見てはいませんが、言えることは世界百数十か国に数百か所のカジノがあり、それがみなグランドリスボアホテルのような規模ではないということ。なぜ“太刀打ち”する必要があるのかについては言及はありませんでした。
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「ギャンブル依存症人口を加速する」…これが一番堂々巡りする発言です。日本にはパチンコ業界があり、競馬や競輪などの公営ギャンブルがあり、600万人のギャンブル依存症があるので、カジノを導入すれば、その数は倍増以上するのだそうです。いくらなんでも日本全国規模のパチンコ業界や公営ギャンブルと同様の依存症が新たに同数発生するというのは無理があるでしょうし、なにより、それを言うのであればパチンコ業界や公営ギャンブルを無くするようにすべきなのですが、そこは触れないようです。
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IRについて、カジノは固定収入を確保するための方策だと言いますが、全体からするとかなり限られた収益です。それを過剰に取り上げてIRを議論することは、尻尾が犬を振り回すようなものですから、バランスをとる必要があります。私は敢えてギャンブル依存に配慮して…などと言うつもりはありません。誤解を恐れずに言うと“日本の”ギャンブル依存症とカジノ、ましてやIRとは関係はありません。日本でギャンブル依存症が高いのはパチンコ業界が存在するからで、それを無視して、IRとギャンブル依存症を同等にして議論する悪弊は避ける必要があります。そう考えると、先の不毛な議論が起こる原因は容易に判断できるというものでしょう。
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