“道の駅”は、地方再生の切り札? そうはならない不都合な事実 その2

道の駅の持つ”不都合な真実”

また別の要因もあります。現在日本は少子高齢化が急激に進んでいます。また若い世代の車離れや、買い物離れが貧困化と共に進んでもいます。そう遠くない先に人口は今の三分の二に減少し、その時65歳以上の高齢者が半数近くなるなかで、“道の駅”が業態変更を余儀なくされ、普通のスーパーマーケットのレベルになるのは時間の問題かも知れません。もちろん“道の駅”が、同じ土俵で厳しい環境を乗り越えた日本のスーパーマーケットと対等に戦えるとは思えません。
 現在進行している“不都合な事実”はまだあります。それは“民業の圧迫”です。民間の小売店やスーパーマーケットは、経費負担や人件費の高騰、人手不足、供給責任など様々な苦労と闘いながら経営をしています。そんな事業者の道を隔てた真ん前に“道の駅”が堂々オープンすれば、経営は益々苦しくなり、廃業も止むを得ない場合は少なくありません。
この問題は複雑な事情があります。確かに地方に産業もなく農業政策などの見直しが必要な点もあるでしょう。しかし第一に何故第一次産業だけがこれほど優遇されるのでしょうか。道の駅で集客できてもその他の自営業者には何のプラス効果は波及しません。役所とべったりの出入り業者だけが利権を独占するという間違った経済環境の是正がなければ、畢竟道の駅の将来も不安定なものになってしまいます。それに何もなくて役場と道の駅だけの故郷に残る若者などあるかと考えたとき、目の前の税金に飛びつくのは浅薄な考えになるとも思えます。なぜ地域は、この問題にこれほど無関心でいられるのか不思議でもあります。
また、高齢者の生活環境の変化も同様です。これから大量の団塊の世代が車の免許書を返上するようになったとき、自分のコミュニティに“歩いて生活できる街”、つまり歩いて行ける範囲に、生活に必要なお店や施設がまとまっている環境の事ですが、これがあれば大変便利です。それでなくても、特に地域ではこれらの減少に歯止めがかからない状態になってきていますので、ましてや消滅状態となってしまったら…。経費負担の心配のない公共事業の跋扈は最終的には、地域の住民の生活や税負担などになって返って来る可能性が極めて高いと言わざるを得ないのが事実です。
 

地域経済に与える危険な事実

 経営続行が困難となって民間に業務を委託、代行してもらうとしても、あれだけの大きな施設ですから、それを引き継ぐと言っても問題山積です。これまでと同じ条件では経営できませんから、どこも二の足を踏む事が想定されます。効率経営と言っても“民間企業”の経営と“お役所仕事”には雲泥の差があります。結局はその場所を分散して郊外型のSCが代わって建つが、その頃には人口減少による市場規模の縮小が起きていて、買い手がつかない状態になって行くのでしょう。何事にも“潮目”というものがありますが、税金の過剰投入によるコミュニティバランスの崩壊には対処策はないのです。ちょっと経理や経営を齧ったことのある方は、簡単にこれらの施設の収益を把握することができます。同時に、当然必要な運営コストも分かりますので、これらが如何に地域経済に危険な事実を含んでいることに気づきます。
 レライアンスにはまだ、道の駅案件のご依頼はありませんが、業務内容などについてのお問い合わせが入ることがあります。社会的には、ご依頼が増えないのが一番なのですが、おそらく今後、深刻なマターとなって行くと想定できます。“覆水盆に返らず”ですが、“朝に道聞かば夕べに死すとも可なり”とも言います。そうなる前に整理を始める勇気が、今必要だと思われます。
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