ハワイと京都に見る観光ビジネス

ハワイの文化は僅か100年の間に創造されたもの

全開のブログ「日本の観光ビジネスの基礎講座」では、これまでの日本の観光ビジネスがなぜ、碌な成果を収められなかったについて、その原因が“予算獲得型”であったという一因についてお話ししました。では効果を上げる為に必要な“目的創造型”の実例についてお話しします。それは私達が良く知る“ハワイ”です。
ハワイには特有な南国文化があって、それに観光客が引き付けられているのだと普通誰でも考えます。しかし100年前にはハワイにはいまのような文化はありませんでした。アメリカの州に併合されてから、この地を観光地にしようとして、様々な“観光文化”を“制定”して行きました。例えば音楽です。それまでハワイにはフラーと言う踊りがありましたが、これをアレンジしてフラダンスを制作して、踊りの動きに意味を持たせる工夫をしました。ハワイアンミュージックも創造しましたが、あれはエレキギターで演奏されますので、ハワイの伝統文化で有るはずがありません。アロハシャツは京都の西陣の生地を使って作られたものであることが今では確認されています。その他、ダイヤモンドヘッドの物語も、ビーチ文化も次々に、観光客の希望に合わせて“作成”されて行ったのです。今の観光客がハワイで買う“ハワイ土産”はほとんどがハワイ以外で作られています。こうしてハワイは“観光客が望む観光地”に変貌して行きました。

観光ビジネスのツボ

ここに“観光”のツボがあります。観光とは“期待をさせ、それに応える事業”だと言えます。そこには“真実”は必要ではありません。ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンと観光地は、その本来の目的からすると同じです。大阪のユニバーサルスタジオジャパンは社会資本で道路などの環境は完備されていますが、元々のロサンゼルスのユニバーサルスタジオはこのようなスタイルではなかったのがミソです。“そこに行く為の施設”であって、周辺環境は後に作られて行きました。
京都もあの街並みや、京料理、芸者文化などを観光の主とするために、大変な努力を重ねて来ました。だからこそ、観光客の期待に応えられる観光地が築かれたのです。そう考えると、他の地域の観光ビジネスをどのようにしなければならないかが見えてきます。少なくとも現在主流の“予算獲得型”では、お金を溝に捨てるようなものと言う意味がお分かりになられるのではないでしょうか。

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