死者から手続きが来るはずもないのに
以前、私の事務所に出入りされていた年配のご婦人(当時80歳くらいだと思いますが)が、亡くなったご主人名義でずっと請求書が届くので、どうしたらよいのでしょうかと相談を受けたことがありました。心当たりがあったので、請求書を見せてもらいましたら、やはりSOFTBANKでした。彼女のご主人が、スマホを購入した時、画像を自動送信してくるデジタル写真立てを勧められるまま、契約に付け加えたのだそうですが、すでにスマホも解約して何年も経っているのに、写真立ては別契約となっているということで、ずっと請求されているようです。彼女はスマホ契約などには疎いので、これまで銀行引き落としだったものが、請求書で廻って来たので、慌てて振り込んでいたようですが、どうやって断って良いか分からず、困っていたようです。
YAHOOではこんなこともありました。クライアントの、やはり年配の方から、亡くなった父(90歳くらいになるかと思いますが)のYahooの何かの会費の請求が毎月来るのだがと言う事で、こちらも案の定、死んだ本人からの申請がないからでしょう(当たり前のことですが)、銀行引き落としができなくなって、直接請求してきたのです。
亡くなった契約者から、まだ会費をせしめようとするような経営
仕事の関係でこの会社の関係者を知っていましたので、直接聞いたことがあります。このような契約の場合、契約者が死亡したことは分かるはずなので、請求書を回す手間で、契約解除の連絡をしないのかという質問に、彼は「事業マニュアルにあることなんです。でもこれが多くて、7割は支払い続けてくれているのですよ」という返事で嬉しそうに笑っていました。
彼とは親しいこともあったのですが、私は腹が立って「契約を解除する際、なぜ別契約が残っていることを言わないのか。死者から死亡の連絡など入るはずがないのだから、死亡が確認できたら、なぜ過去の請求を取り下げないのか。君の会社は、あの長ったらしい契約に、その項目を入れてあるから、黙ってて死者の家族からまだ、巻き上げようというのか」と言ったところ、私の不愉快そうな顔を見てか、よいこととは思ってないのですが、社の方針でと言うに留まりました。
日本の携帯電話業界では、常に意図的なややこしい価格設定問題や、他社に乗り換える際の高い懲罰金など、明らかに企業倫理に悖るようなビジネスモデルが問題となっていて、利用者はみな、どちらかと言えば不当だが、業界全体で同じようなことをしているので仕方なく使っているのが現実です。しかし”一事が万事”と言います。自分達はその絶対的優位にいるのだから、どんな無理でも通るのだと信じているから、すべてに亘って詐欺まがいのビジネスモデルを考えてしまうのでしょう。
これがグローバル化ということでしょうか? GAFAなども、その長ったらしい、誰も読まないような利用規約の中には、利用者には一方的に不利となるような項目が並んでいるのだと言います。であるのなら、その寿命は意外に短いのかもしれません。
私はよく汐留のソフトバンクの本社の前を通ることがありますが、日本を代表する会社であることは間違いないでしょう。ただ、日本を代表する企業が、そのような陳腐で詐欺まがいの仕組みを残していて、さらには現場がそれ(数字の正確さは別として)を認識しながら、美味しい仕組みなどと考えているのであれば、それは消費者の信頼に対する背信行為であると言われても仕方がないでしょう。