このところ、学生、或いは新社会人の方の奨学金の返済に対するお問い合わせが増えています。主だったご相談の内容は“返済できない”とか“ブラックリスト”に入れられたなどで、到底これから社会を支えて行ってくれる若者の悩みとは思えない状況が起きています。私は以前から日本の奨学金制度が、多くの問題を孕んでいることは承知していましたが、今日のような状況になっても政治が無策であるのを見ると、これはとんでもない状況であると言わざるを得ません。
奨学金と言う名の学生ローン。国の政策としてこれでよいはずがない
“日本学生支援機構の闇”と、多少きつい表現を使いましたが、おそらく当の支援機構側としては、“とんでもない言いがかり”だと憤慨されるでしょう。その通り、学生支援機構は独立行政法人として業務を受け継ぎ“収益を上げる”目的で運営していますから、そこに不正でもない限り、言われなき中傷だと感じるでしょう。しかし、よほど世相に疎くなければ自分達の仕事の意義は理解できるでしょうし、そこで社会問題化されるような奨学金返済によって引き起こされている現実を見れば、“貸し手としての責任”についてはもっと考慮することが必要であることなど、誰でも分かることだと言われても仕方のない事でしょう。
よく、“これは奨学金の言う名の学生ローンだ。返済の利率は、今の時代、銀行ローンよりも高く設定されている”と言う意見があります。日本の国力が弱まり、超少子高齢化社会が来る。しかもOB世代や公務員、既得権益者が異常なまでの高待遇をとっている社会で、日本の将来の為には“子供達を輝かせる政策”が急務だと、官僚や政治家だけでなくメディアも誰もが口では言っているにも関わらず、この問いには無視を決め込んでいると言われても仕方がない現状は、やはり異常です。
“自己破産”や“ブラックリスト入り”など、社会で活躍する前に“貧困層入り”する若者
奨学金の返済が滞ると、自己破産する例が多発しています。しかも返済が滞ると“ブラックリスト”入りと言う懲罰を受ける場合が設定されています。“学生として学んで、将来日本の役に立ってくださいね”と笑顔でお金を貸してきて、今度は“返済が遅れると、ブラックリストに入れます。そうなるとクレジットカードも持てないし、就活にも影響するぞ”を驚かせるのですから、金利の多少低い“街金”と変わらない様相だとも思います。いまや半分近い学生がこの金融ローンのお世話になっています。それは急速に社会が貧困化して、企業業績も悪化し、労働者を使い捨てする仕組みに代わる中で、仕組みが、政治がついて行けていないと言えるでしょう。
もし、この半年、あの籠池問題や加計学園問題など畢竟は“安倍降ろし”しか頭にない、野党やメディア。それじ乗じて岩盤規制を守ろうとする官僚の跳梁跋扈がなく、少なくとも北朝鮮の核問題や、この奨学金問題を国会で採り上げていたら、何らかの成果に繋がったでしょうが、一体国会は国民を舐めきっているのでしょうか。
“お金は借りたら返すのが当然。今さら泣き言を言うなら最初から借りるな”という意見
これもよく聞く意見です。かつてのサラ金問題の時も、街金の高利息問題の時も、金融問題が取り上げられるときには必ず“どこからともなく”この意見が出てきます。しかし相手が民間企業であれば、最終的には“貸し手の責任”が事の本質と言う形で政策が打たれます。ところが独立行政法人下の組織となると、官僚の天下り先としての側面があり、手をつけようとしないとでも言うような対応になります。特にこの奨学金制度では、“それならば普通の金融ローンと同じなのだから、貸し手責任として、事前に充分なリスクの説明を行ったり、そもそも学生の奨学金というネーミングを変える”べきでしょう。
すでにこのようなことが社会問題化しています。学生ローンを借りることで破産したり、人生のスタートが切れない学生が激増している現実があれば、これから進学を希望する学生から可能性は奪われるでしょう。そしてそれを放置していた、政府や広く政治家と名の付く人々の無策も非難の対象となるでしょう。
いずれ、大学までの学費の無償化は避けられない。であれば、すぐにでも法案化すべし
以前のブログで、私は保育所問題など法律で決めれば役人はきっちり動くから簡単に解決する(加計学園問題と岩盤規制)と述べました。今回も同様です。訳の分からない補助金や助成金を乱発するのであれば、すぐにでも法律を提出して、大学までの学費の無償化を推進すべきです。“そんなことをしたら、遊ぶために大学に行く学生が増える”と言う人がいます。それであれば“卒業できなければ、支給してもらった学費を返済する”と項目に入れれば済むことです。
政治家の皆さんに問います。あなたが本当に守らなければならないのは“官僚”ですか? それとも“国民”ですか。
※このブログでは引き続き、奨学金問題については御紹介して行く予定です