誰のための”地方改革”か。地方改革を阻害する地方の無知

毎日のように”地方創生”とか”地方改革”という言葉が聞こえてきますが、これがなかなか進まないどころか、後退していることも少なくありません。政府にしても、この時期、本気で”地方創生”をしようと考えている人がいるのか、またその意志があっても、本当に問題を正しく把握しているのかは不確かな状況です。そんな状態だからでしょうか、当の地方で”自分達の何が問題なのか”を理解している人となると、俄然少なくなっていても仕方がないのでしょうか。

先日、地方創生の為の具体案の作成のための集まりに呼ばれて、いま地方改革に必要な具体的政策論を話すことになりました。ところが最初に地方税改革の話をした段階から前に進まない状態になりました。私の意見としては「一例として地方に展開しているチェーン店の税を地方で回収すると共に、例えばアマゾンのようなネット販売も、消費税は購入者のいる市町村で徴収するようにしなければならない。そうなると例えば税理士や経理関係者も地方に帰ってくることにもなり、なによりこれらの税は地方活性に繋がる」と正論を投げたのですが、参加していた地方の方はこぞって反対を唱えました。

「チェーン店などでは販売奨励金があるので、それは本社一括で徴収する。それを地方の店舗ですると処理が煩雑になる」とか、「ネット販売の消費税を購入者の居住地域で徴収などすると、ネットの便利さを阻害する」などという持論を展開されるのですが、一体あなたは何の目的で集まっているのですかと聞きたくなるような内容です。東京都の職員が上記のような理屈を捏ねるのならわかるのですが、一方的な不利益を被っている地方の利益を代表する人が、一極集中を助長するような税制の改正意見について、まったく見識を持っていないことも驚きでしたが、「おいおい、誰のために私はここに来て意見を述べていると思っているのか。もっとちゃんと勉強しろよ」と怒鳴りたくなるのを押さえながら、説明をしました。

最終的には、あらかた意味は理解したのだと思いますが、それは結論を覚えただけのことであり、おそらくは他者を説得できるものではないかも知れません。地方改革を阻害しているのは、当の地方で、こんな体制だといつまで経っても改革などできるものではありません。

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