今や業界のお荷物?百貨店が日本の流通産業を破壊している?

絶対的優位を悪用した?商慣習

よく百貨店の数字がメディアなどで発表されますが、敏感な方の中には、どうも発表される数字が現実を反映していないような気がするのではないかと思います。確かに百貨店売上げの数値などは、ある程度操作することができますし、中には必要な数値を発表しない“手”もありますので、あてにはなりません。例えばかつて百貨店が底なし沼に足を取られたように業績を落とし続けていた時などは、いわゆる“歩引き”と称して、毎年1%ずつの割合で取引先から取り立てていました。これなどは絶対的優位を悪用した商慣習で許される範囲を逸脱していますが、取引先もさるもので、百貨店が10年ほどで10%歩引きを取り立てた間に原価レベルで10%を落としました。当然それは製品の粗悪化を意味します。つまり原価を落として対抗したわけです。これによって誰が被害を受けたでしょうか。ほかでもない、百貨店の看板を信頼して買い物をした消費者です。百貨店側も当然気づいていたでしょうが、悪い決算を上げるわけにもいかず、黙認していたと言えます。
この間、好材料と言えば近年降って湧いたようなインバウンド需要でした。インバウンドと言うのはまた別に述べますが、多大に作られた情報によって左右される要因が多いのですが、百貨店もインバウンドを前面に押し出して活況を印象付けましたが、爆買いという特殊需要を盾にしたような品揃えをしたことで、従来の顧客離れが一層進むだけになりました。
最近では百貨店の営業方法が日本の流通産業やメーカーを破壊しているという評価がかなり前面に押し出されてきたように思います。例えば新宿の日本を代表する百貨店ではバーゲン時期を巡って無茶なごり押しを続けていて、それに追従する勢力がほとんどいなくなっても強硬しています。迷惑を被るのが取引先やメーカーで帳尻を合わすのに苦心しています。苦心と言ってもある程度の範囲で、かつて10%の原価を落とすことで対応したように、今回もそれらしいバーゲン対応製品をアリバイ的に揃えるだけで、やはり迷惑するのは消費者となります。

“仕事”が“身分”化した、お役所的環境

では何故このようなことが起きるのでしょうか。あれほど有能だと思われてきた百貨店が、今やお荷物化されるのでしょうか。それはやはり人的要因に尽きると思います。私も仕事柄、多くの百貨店とは関係がありましたが、昔は百貨店は消費者の目標でもありました。いつかは○○百貨店と思って仕事をしてきましたが、今では消費者の生活のふり幅の方が飛躍的に高まってきています。それで百貨店側が自らのコンセプトを見直す機会があったのですが、百貨店と言うのが“身分”となってしまって、取引先やメーカーの、そしてこともあろうか消費者の上に立ってしまったというのが原因だと思えることが多いのです。これを解消しなければ、百貨店はある日突然崩壊することは間違いないでしょう。
ある百貨店は、日本全国に進出している大手雑貨店T・Hや、個性派スーパーS・Iを誘致しておきながら、“単なる場所貸しではなく、FC契約による自社運営である”と発表しました。この言葉には欺瞞があります。大手人気店の看板を出しての出店であれば、消費者は人気店が来たと思います。しかしそれとFC契約による自社運営とは別の話ですし、そもそもFC契約と自社運営を同等に並べて、いかにも自分達の能力で営業をしているような印象付けは誰の為にもなりません。
大体、完全消化仕入れを取引先に強制していながら歩引きを勝手に引き上げたり、ペナルティを貸すなどというような責任回避が常套化しているのであれば、それから改めなければ、再び百貨店が陽の目を見る事はなくなるのかも知れません。

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