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定年間近 足腰だけは強くなければ!が陥りやすい第一歩
60歳。定年退職を迎える年代になると俄然高まるのは健康志向です。男性の場合は退職後の仕事が基本肉体労働になるという理由や、デスクワークで衰えた足腰を自覚する機会が増えてくるのに伴って、同年代の友人などの「体力が落ちるのは仕方がないにしても、足腰だけは衰えないようにしないと」とか「人間、歩けなくなったらお終いだ」ということばに妙な説得力を感じる年代です。
女性も同じで、テレビの健康テーマの番組などが、毎日のように老化老化と脅かすものですから、「毎日、家事をしていても、筋肉造りや有酸素運動になってないから、二の腕なんかタプタプ…」。あまり直接的でないように感じますが、とにかく若さを求めて、有酸素運動を中心にするジムなどの通い始める時期です。
足腰の衰えを防止しなければならないことは言を俟たないことですが、その「焦り」が、「健康体腰痛・頭痛の慢性化」を助長しているとしたら、これはあらためなくてはいけません。
話を進めるまえに「健康体腰痛・頭痛の慢性化」についてのご説明が必要ですが、これは正式な病名ではありません。簡単に言うと特に疾病状態でない中で、あまり考えないで、やれ肉体改造とか体幹運動と急激な運動をすることで、強い筋肉痛(ぎっくり腰や肉離れまででもないまでも、強い痛みが伴うもの)になり、年齢的にその治癒に1~2週間かかったり、癖になったりすることを繰り返す意味での慢性化になることによって、生活の質が低下することを言います。
頻繁に起こる健康体慢性腰痛(足腰)と頭痛(筋トレ)を回避するために
60歳を越えると、定年退職をした方であれば、個人差はありますが、日に日に筋力が落ち始める時期でもあります。同年代と話をしていても、ウォーキングを始めて10キロ痩せたというような話がではじめます。日頃、デスクワークが増え、運動量も減っている自覚がありますからYOUTUBEなどで体幹トレーニングなどをみて、インナーマッスルを鍛えたり、スクワット100回と頑張り始めます。最初のうちは自分でもまだまだいけると感じ、家族にも「最近、健康体に戻ってきた」などと言い始める時期になって「それ」は起こります。
健康体腰痛は最初は腰あたりに起こる“ピッとした”小さな痛みです。あまりに小さな痛みですから、その時は気にも留めないのですが、数時間経つと強い腰痛、筋肉痛になってきて、完治まで日数がかかります。これは過剰なウォーキングや筋トレが原因で、腰周辺の筋肉である大臀筋、中臀筋や多裂筋、起立筋などをいためたり時には広背筋と大臀筋などの接点あたりを痛めたということです。アキレス腱の炎症というのも腰痛とは違いますが、意外に長い期間の治療になります。
これが健康体頭痛になると、腰から上の筋トレをしこたましたり、特に首周りにある胸鎖乳突筋や僧帽筋などの影響で起こります。足腰に比べると「こんなことぐらいで…」と思う程度のことで肩凝り、首凝り、強い頭痛に繋がります。スマホ首が一例ですが、意外なことにウォーキングでも起こります。これは、体力的に厳しいウォーキングをしていると、背中が丸まった姿勢で歩くためにスマホ首のまま、長時間首に重力がかかるためのものです。
なぜこのような事態になるかと言えば、自分の筋力や体力、運動量の限度が低下していることを理解していないことにあります。そもそも、60歳からの運動は、自分のこれまでの経験とは違ったものにしなければなりません。そのような意識のある人はおそらくもっと早い段階から運動を心かけて来ている方が多いのですが、運動時間や量、加齢による、運動量の関係で、効果を上げられずにきていと思われますが、それをあらためて繰り返しても結果は同じです。
運動の仕方についてですが、例えばある患者さんですが、60歳で、1日にウォーキング15,000歩。スクワット、腹筋、腕立て、プランク(体幹)などをします。本人は有酸素運動や足腰の筋肉、腹筋、腕・胸筋、体幹運動とバランスをとっているつもりなのですが、これらの運動は基本的に臀筋や中臀筋、多裂筋などを使いますので、結果的に同じ筋肉を過度に鍛えていることになってしまいます。案の定、定期的に腰痛が起きますが、直ると運動内容を見直しませんので、現在では腰痛が慢性的になっています。
無理は禁物 60歳からの健康と運動は確かに余生に直結することを忘れずに
いくら健康と言っても60歳を越えると偏った筋トレになりますし、この年代からは、基本的に筋力、体力をつけるには、かなり時間がかかることを認識し、体力的に余裕があると思っても、毎日継続はしないようにすることが大切です。また、運動のしかたにも注意してください。一般的な常識では、筋トレをすると一時的に筋肉組織が断裂され、それを修復することで、筋肉が付くと言われています。しかし、それも60歳を越えれば、少し軽めの運動から少しずつ増やしてゆくことと、それを年単位で行ってゆく(数カ月で筋肉をつけようとは思わない)ことを心がけてください。勿論それまでの運動経験や体質、体力、生活環境によって、個人差はありますが、ここでは一般的サラリーマンを基準にお話ししました。
最後に焦らず、効果的に60歳からの体力を造ってゆくためのアドバイスをしますと、常に正しい姿勢を心がけてください。座っていても背を持たれずに前傾姿勢にならない、もちろんスマホ首状態にはしないようにします。歩く時も胸を張って顎を引く形をキープします。少し気を許して、すぐに形が崩れてしまわないようにするだけで、ずいぶん違うものです。
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