飲食店経営の課題  お店の料理の原価は33%の常識はほんとうか?

FL比率とは

飲食店経営のいろはとしてよく“FL比率”というのを聞きますね。Fは材料費、Lは人件費を言い、これを足した数値を売上げ高で割ったものをそう呼びます。全体のFL比率は50%辺りがベストで、それ以下は利益率が高いと考えられます。以降、原価率は30%以下、人件費は20%以下がよいと業界の常識は教えています。例えば仕入れ原価が90万で人件費が60万だとすると、合計は150万で、これが50%のFL比率だとすると、理想的な月の売上げは300万だとなります。そうすると1日の売上げはそれを営業日数で割ればでます。もし30日の営業だとすれば1日10万となるのですが、では客単価が1500円とすると、1日66人のお客様が必要です。人件費が時給1000円で6時間だとすると全部含めて3名くらいがやっとでしょう。では調理場2人で接客が1人。そんな体制でそれだけの人をさばけるでしょうか。これでは経営は成り立ちません。しかし多くの飲食店はまずこうした数値管理のコツを教えてもらいます。定期的にこの数値をチェックして、この数値に近づける為に努力します。

 

飲食店の命運を左右するもの

しかしこの“常識”のもとで毎年膨大な数の店舗が生まれ、そして同じような膨大な、或いはそれ以上の数の店舗が廃業します。これについてはあまり検証されません。私はこの数字は“ある条件の下”では正しいと思いますが、果たしてそれしか方法はないのか。つまりこの数値と乖離した営業所は駄目なのかについては、NOだと考えています。実際、長期に亘って顧客の支持を受け、高い品質の仕事を現にしている飲食店の数値をみれば、例外などいくらでもあるからです。
飲食店の命運を左右するものには様々あります。当然、美味しいというのもあるでしょう。或いは場所が便利とか、値段が安いなど、その価値判断は人によって違います。だからその価値判断をするための判断材料はFL比率ではないだろうし、またそれ以外の“数式”でもありません。これらは単なる“結果”に過ぎないのです。この“数式”に拘るあまり、しなくてもよいことをして廃業した例は星の数ほどあります。その点には充分な留意が必要です。

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