50歳を越えたら、“首”の強化は重要になります。気をつけて鍛えましょう。

例えば腹筋であれば、腕立をしても、スクアットをしても自然に負荷がかかって、それなりに筋トレにしていることになるのだそうですが、首はそうした影響を受けないので意識をして強化しないといけないと言うのを、学生時代トレーナーから聞いた記憶があります。とは言え、これは本格的な筋トレの話です。ただ同じトレーナーは、「人間、50歳を越えたら毎日意識して何らかの“首トレ”をしろ。するとしないで、人生のクオリティが変わって来る」とも言っていたのですが、その歳を迎えて気づくのは、その指示の正しさでした。

50歳を越えたら首を鍛えることの意義

例えば、肩を背中から見ると、その筋肉構造はアメラグの防具に見えなくもありません。大きな僧帽筋と三角筋が肩を覆い、肩甲挙筋などがしっかりと中を守ります。それだけ大きな力に対応する為の必然なのでしょう。では首はと言うと、その筋肉構造は、まるで電力ケーブルのように見えます。胸骨頭や頸板状筋、肩甲挙筋などが束になって動・静脈や器官、なんと言っても脊髄を取り囲んでいるのは、総司令本部である脳と体を繋ぐ首が大変重要であるだけでなく、それだけ“細い”ものでなければならない身体的特徴であり、これも必然からできているからなのだと思います。
何故50歳になると“首を守る”必要があるのかの理由は聞き洩らしましたが、やはり全体の筋力が低下し始める事、昔に比べて非活動的になって、自然の生活だけでは筋力の維持に不充分となったからだと理解しています。運動神経も多少鈍ってくると頸部の事故も増えてきます。ここを痛めると体全体に深刻な影響を与える事故に発展します。また、それほど深刻な事故でなくても、ちょっと筋を違えて2~3日首が回らなくなるとか、ちょっと荷物を運んだら首こり頭痛が続くなどの“ちょっと首”は、生活や仕事のクオリティを大いに低下させることになります。

首を守る身体構造的な意義とは

頸部というのは大変重要な器官が集中しています。それもそのはずで人間の体は脳がコントロールしているので、その脳からの指令を伝える必要があり、その為には否が応でも頸部を通過しなければなりません。その中心である脊髄は脳や神経を守りますし、血液もここを通ります。これらの器官は強くできていないので、それをしっかりと守る“兵隊”が必要ですが、首の体積から見ても、限られた兵隊で守る為には、兵力をアップしなければならないのです。しかし神経や血管などデリケートな組織は、急で大きな圧力や激しい衝撃を受けるようには想定されていませんので、“首トレ”も、可能な限り、影響が少ない環境で進めてゆかなければなりません。

首トレで失敗しないには

日常で首を痛めると、50歳を越えると数日は影響をうけます。”首トレ”の方法は、可能な限りゆっくりやるか、毎日少しずつ、少量でも着実にして行くのが良いと考えます。基本的には頸部を“前に倒す”か“後ろに倒す”、或いは“横に倒す”か“首を旋回”させるの4つになります。最初は手で反対側に圧力をかけて、それを押し返すくらいからが良いかと思います。しかし何度も言いますが、あくまでちょっとずつ進めて下さい。そして慣れてきても決して“パワーアップ”を図ろうとはしないでください。特に55歳を過ぎると老化が原因の頸椎の変形が普通にみられてきます。それ自体は過度に心配することではない場合が多いことですが、保護と強化のバランスは意識してもらいたいと思います。


首の重要性は確かに50歳を越えてから意識されます。これがしっかりできると、姿勢もよくなりますし、何故か自信にも繋がって来ます。私の知る自転車部のOBは、脚自慢はしませんが、いつも首の強さを自慢します。
余った時間ができれば、ちょっと“首トレ”をする。それで生活が一変しますので、お試しください。

 

-人類と健康・長寿への挑戦
-, ,

© 2024 明日を読む