メディアや官僚の嘘と羊飼いの少年

子供の頃、「羊飼いの少年と狼」という物語がありました。イソップ童話だったと覚えていますが、羊飼いの少年が嘘をついて村人を何度も騙していて誰からも信用されなくなり、本当に狼が来ても誰も助けに来なかったと言うお話しで、今は「オオカミが来た」と言う題で絵本となっているようです。なぜこんなお話しをしているかと言うと、昨今の日本の社会で起きていることは、まるでこの話のメタファーではないかと思う事が多いからです。そしてその中で私が最も気になるのは、それが「羊か、少年か」と言うことです。

衆院選の解散総選挙に見られる首相の戦略の凄さ

この場合、村に住む大人達や羊の群れが我々一般国民に当たり、そして羊飼いの少年とはメディアや官僚、役人などの現代社会の既得権益者になります。狼は日々起こる社会問題や私達を取り巻く情勢と言ったものを意味します。
例えば、先般安倍首相は衆議院の解散総選挙に踏み出しました。私は最初この報道を接したとき、その卓越した状況判断に驚きました。そのままでいれば来年12月までは衆参で三分の二に議席数を確保しているのですから、なんだって可能だと考えるのが普通です。しかし安倍首相は勝負に出たのでしょう。戦後70年以上に亘ってみんな口ではカッコ良いことを言ってきた「憲法改正」。中にはわざわざ「私の憲法」のような本を書いた政治家もいましたし、本まで書かなくても「憲法改正は必要だ」と言っておきながら、何か逆風が吹くと、知らないふりをするような似非保守ばかりが跳梁跋扈していた中央政界にも関わらず、畢竟どっちでもよかったと言うのが本音だったと思います。そこに首相が切り込んだのですから、とてつもない覚悟と戦略です。

小池新党の逆風をプラスに転じる状況判断

小池都知事が新党の党首になると言う、一見デメリットにも見える状況も、北朝鮮の核実験や、自民党内の反安倍勢力の台頭も全てプラスに転じるウルトラCなど誰が可能と考えたでしょう。先の堺市長選挙では現職が辛勝しましたが、この結果も見る人が見れば、維新の強さの証明と判断できます。維新が票を伸ばし、小池新党がある程度の躍進をすれば、例え自民党が議席を減らしても連立で憲法改正の国民投票の運びとなる…。いやいや大した戦略と状況判断です。


しかし、この場に及んで、野党や安倍内閣を毛嫌いしているメディア(椿事件と言う、とんでもない行為がありましたが)は、大義のない解散だとか、憲法違反だとかと言って揶揄している。この間まで“安倍内閣を解散に追いやる”と威勢の良かった野党が、解散を批判し、憲法違反については最高裁判所が統治行為論の立場で、解散は内閣の判断に任せるとする立場を既に明確にしているのですから、いくら憲法違反と叫んでも無意味です。

度を越えた不誠実さでは世論から信頼を受けられない

しかし、そんな無茶な論理でも、メディアはその片棒を担ぎます。と言うより、滅茶苦茶な論議と知ってか知らずか、タレントやアナウンサーを使って、連日テレビで批判を繰り返します。しかしここでちょっと俯瞰で見てみましょう。私達羊の群れは狼と言う時世の変化や問題に対峙して行かねばなりません。その為には正しい知識、情報が不可欠です。ところがメディアや野党などの羊飼いの少年は、真実よりも自分が言いたい事を喧伝しようとします。「狼が来た!安倍首相の解散は憲法違反だ。森友・加計学園問題隠しだ!」と。


しかし、先にお話ししたように、これらは全く的外れなだけでなく、無茶な捏造であることは、既に多くの“羊”には分かっていることです。しかし、このようなことを言いふらすことで羊の群れは混乱してしまい、社会は無駄な混乱が起きてしまいます。それは国民の利益に著しく反することになってもまだ続けられて行くのですが、そうなるとこれら“羊飼いの少年の嘘”は何のプラスを生み出すこともありません。

少年か?羊の群れ? 大切なのは正しい情報管理

物語では、本当に狼が出たとき、誰も少年を信用しなかったため、喰われてしまう事になっています。ただ食べられたのが“少年”なのか、“羊の群れ”だったのか、説が分かれています。メディアがつく嘘が…、森友報道や加計学園問題の過程で、明らかに官僚がついているであろう嘘が、メディアや官僚が喰われることで消滅するのであれば、それはそれで意味もあるでしょう。しかし、狼が襲ったのが“羊の群れ”。つまり私達と言う事であれば、それは私達の生命や財産などの維持にも少なからず…と言うより、重大な影響を与えることに他なりません。

嘘をつく羊飼いの少年は、早めにきつく叱っていれば、このような事には発展しなかったといえるでしょう。私達は物言わぬ“羊の群れ”であってはいけないことを肝に銘じるべきでしょう。

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