先日、平日の昼間にショッピングモールに行く用事があったのですが、その際、年配の方が倒れている場に遭遇しました。周辺の店員が対応していたのですが、モールの警備や管理スタッフはかなり遅れて現場に来たのですが、具体的な対応はついぞ見られませんでした。実はこのショッピングモールで今、多くのトラブルが起きていることは、あまり知られていません。
人が集まる場所では、いきおい犯罪も増えることは致し方がないことです。しかし、その施設を運営する企業は少しでも犯罪被害が起きないよう、最低限ではなく、最大の注意を払うことは至極当然のことだと思いますが、どうもそれについての責任感は欠如しているのではないかと強く感じます。
施設の内外で増える犯罪
施設内での犯罪行為については、やはり長時間営業の影響もあって、特に地方では平日の遅い時間には得体の知れない風体も見られるためか、当然増えています。しかし周辺の方々に伺うと、実は施設外での関連犯罪が激増しているようです。特に未成年者は電車やバス、自転車でモールに行きますので、最寄りの駅からモール、或いはバス停周辺など、モールの外での犯罪や事件などが後を絶たないと言います。確かにモールの中では人目もありますし、夜でも明るいですから、夜などは外の方が目的を果たしやすいのでしょうが、住民がそう証言するとすれば、その件数はかなりの数に上ると想定されます。
深夜まで蠢く、モールラッツの群れの異常さ
例えば都市部の繁華街でも、夜10時を過ぎて4~5歳の子供が歩いていたら、誰もが慌てて保護しますし、小中学生がいたら補導するでしょう。しかしショッピングモールでは普通に見られる光景です。もっと異常なのは親が同行していることです。明日が休みだからと言うのとは違った次元で、そんな時間に子供を連れだして回ると、先進国なら児童虐待になる場合もあるのですから、この異常さは限度を超えています。
子供が深夜に徘徊することは、精神衛生的にも肉体的にもよい事は絶対にないのですが、ショッピングモールに現れる親子モールラッツ達は気にも留めていないようです。因みに“モールラッツ”とは、このような時間にショッピングモールでうろつく子供達を文字通り“ねずみ”に例えて言う言葉で、決して良い意味ではありません。
運営企業は施設の管理責任は業務に関することだけではないことを重く受け止めるべき
ショッピングモール内では様々な犯罪が繰り返し起きていることは述べました。しかし何故かこのことがメディアを含めて表に現れることはほとんどありません。アリバイ的に発表されているのかも知れません。また外での犯罪は因果関係が不明だとの逃げ道もあるでしょう。児童虐待的なモールラッツ族については個人の問題だとうそぶく事もできるでしょう。しかし、いずれ大きな事故、事件に繋がる事になるでしょうし、大きくなくても犯罪の隠れた巣窟となってきている事実を運営企業はいつまで無視するのでしょうか。
またショッピングモール初期の頃、北九州にできたショッピングモールをリサーチに行ったとき、背広を着ていたにも関わらず、売り場を2週廻った段階で警備員が“何かお探しですか”と牽制してきたことがあります。なるほど、人が集まる場所でのトラブルをしっかり防ぐ姿勢が感じられたものです。それに比べれば今のショッピングモールでは、そもそも深夜でも警備員の姿を見ることはほとんどありません。当然でしょうが夜遅くに子供がうろうろしていても注意などしている光景などみることはありません。
運営企業が最低しなければならないこと
まずショッピングモールの営業時間の規制をするべきでしょう。こんな長時間営業は治安の悪化を招くだけですし、深夜時間の従業員の犯罪被害も多いと聞きます。次に8時を過ぎたら館内には警備員のパトロールを、少なくともフロアー単位で増やすべきでしょう。館内カメラだけでは絶対に対応はできません。そしてやはり夜になれば小中学生などの施設の利用を終えて帰宅するよう館内放送をして、帰るように指導すべきでしょう。もしできない場合でも、せめて個々に指導をするか、その手のボランティアを受け付けるなど何らかの対処をする必要があります。例え法律や条例で決まっていなくても、企業の倫理観を表す意味でも実行すべきだと思います。
ショッピングモールは商業施設ですから、倫理や地域の治安より利益を優先すると開き直る事は出来るかも知れません。ただこの四半世紀ほどの間に商業関連の法律は随分捻じ曲げられてきているという指摘もあります。地域の小売業は次々に崩壊し、消費者は購入のための選択肢を持てなくなりました。日本の流通業が歩んできたこの数十年の歩みが、果たして消費者の利益に適っていたのか見直す時期でもあります。その中で、今の状況が少なくとも地域の犯罪など治安に不安を与えたり、子供達を虐待するような場を、例え間接的にでも提供するようなことになるかは早急に精査し、修正すべきは修正して頂きたいものです。