「聞けば聞くほど違和感が漂う。小泉進次郎議員の“こども保険”①」

小泉議員の提案したこども保険って?

小泉進次郎議員はとかくグレーなイメージのある国会議員の中では突出してクリーンで賢明な印象のある人気議員です。以前選挙の街灯演説の場を見たことがありますが、多くのマダムを中心に「進ちゃーん」との“山吹色(失礼)”の歓声が飛び交っていました。私も彼のような血筋も能力もルックスもありながら、ひたすら公務に没頭している政治家にはたいへん期待しますので、マダム達の興奮もよく理解できます。しかし、そんな小泉議員ですが、今回打ち出した“こども保険”については、いくら好意的に理解しようとしても違和感しか感じないものです。

小泉議員が、待機児童問題という先輩議員たちが何も成果を出せなかった問題に、御自分でも充分精査したレベルではないことは分かっていても、一石を投じて波紋を起こした姿勢は評価できます。こんなことでもしない限り、この問題は悪しき“岩盤規制”の壁に阻まれ続けられるからです。しかしそれならば、私が前のブログ(加計学園問題と待機児童問題の共通点②―簡単に解決できる待機児童問題)で言ったように、岩盤規制に立ち向かってほしかったと思います。

ではこの“こども保険”の何が違和感と感じるのでしょうか。最初テレビの報道で、このニュースを見た家内は、「こども…保険? 民間事業?」 と混乱していましたし、聞かれた私も、「うん、一体何のことやろね」と返すくらいしか術がありません。そう、よくよく聞いても、何か変だとしか言いようがなかったのです。

何が違和感の原因か

違和感の原因は、まずその名称にあります。“保険”というと、支払いを受ける可能性のある人がお金を出して、保険事故が起こった時、支払いを受ける制度です。ところが“こども保険”の場合、現役世代から強制徴収されるし、そもそも偶発的事象を前提とする保険事故自体を出産に含めているのも変です(後に高齢者優遇という指摘を受けて、医療保険・介護保険などにも上乗せして徴収する方針に変わったようですが、これなどもう滅茶苦茶です)。

「どうせ保険料を払っているから、さっさと結婚して、子供を作ろう」なんてことにはならないでしょうし、そもそも、このやり方は、“保険”ではなく“増税”って言うんですね。ここまでくると、なんとなくNHKの受信料を連想させます。“受信料”と言いますが、法律で強制される自由契約などあり得ないのと同様、子供を出産した家庭に支払う資金を、全世帯に強制的に支払わせるわけですから、これは立派な“増税”になります。それを“保険”などと言うわけですから、違和感があるのは当然です。

あの“白馬の騎士”のイメージの小泉議員ですら、こんな状況ですから、規制緩和や構造改革など遠い夢のまた夢というのが日本の社会の現状なのでしょうか。こんな議論になるくらいなら、今一度、私の前回のブログにあるように、就学前の児童の無料、全希望者は各自治体で責任を持つという法案を通すのがよっぽど効率的で現実可能で即効性があるというものです。しかし、何故そんな簡単そうなことが、20年以上進められないのでしょうか。ここに既得権益者とそれを守る役人の“岩盤規制” の問題があるんですね。②ではそのこれについてお話しします。

 

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