老後破産問題について真剣に考えてみませんか

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“下流老人”、“破産老人”、“老後崩壊”等々。これからの時代の老後崩壊問題については、今では書店やテレビネタの鉄板テーマとして知られています。しかし、これらの記事や報道については、あまり正鵠を射たような内容ではないだけでなく、情報を送る側にも真剣味が欠けているようでもあります。
ユーボック総合研究所でも、50歳代以降の方を中心にご相談を受けていますが、今後は逆に問題を指摘してもポリアンナ症候群とでも言うのでしょうか、充分な危機であるにも関わらず、安易に考えて逃げる傾向があるように思えます。
このように、老後破産については、様々に取り上げられているものですが、今一度初歩的な見地から原典に立ち戻って考えて頂きたいと思います。

老後問題は人口構成問題

老後破産に関する巷に瀰漫する情報は少なくありません。しかしいずれも特別な意図を持って流布された類のものであって、老後問題の解決の助けになるであろうと思われるものは、限られているようです。それは老後問題の根底が、戦後の日本の社会構造や政府、官僚の政策と深く関わっているために、それを浮き上がらせることは政策の失敗を意味するからでもあります。当然のことながら老後問題の基本は人口構成であり、現在のこの問題の発生は半世紀以上も前に決まっています。特に団塊の世代の問題は、その言葉の有る無しに関わらず、いずれ大きな歪を起こすのは人口グラフを見れば分かる事です。にも拘わらず日本の優秀な“官僚”は、全くの無策だったと言えるでしょう。

人口構成に深刻な影響を与えた3つの社会要因とは

老後問題は人口構成問題であることは述べました。しかし、近年(と言っても、四半世紀以上前からのことですが)私達個人に“深刻な影響”を与える社会変化がありました。それは“戦後日本型の企業文化の崩壊”、“年金問題”、“銀行金利問題”の3つです。この3つの大変化が人口構成問題の枠を爆発的に拡大して、これからおそらく半世紀以上に亘って、日本社会に深刻なダメージを与える原因となることは、もはや間違いはありません。この大きな問題は四半世紀以上前から分かっていたことであると述べましたが、これらは国や官僚によって、改善どころか国家規模の詐称とも言える“すり替え”により、さて国民のどれだけの人達が認識しているでしょうか。

戦後日本型企業文化の崩壊

企業文化についてはスタイルと能力の問題に分かれます。それに触れる前に、日本の企業文化について簡単にお話しします。少し長い文章になりますが、理解に重要なことなので、御辛抱をお願いします。

先の大戦以前の日本は今とは全く違った企業文化を持っていました。それが敗戦によって日本は規格大量生産社会に特化することを日本の国家戦略と位置づけました。そしてそれを達成する為には、役人が決めた産業を役人が決めたルールで推し進める必要がありました。そこで同じ能力や考え方を持った金太郎飴的な国民を大量生産することが急務となり、その為には“会社員”を大量に作る必要に迫られました。そこで所謂“サラリーマン”には、世界に例を見ない破格の待遇が容易されました。20歳くらいでサラリーマンになると、最初の20年は仕事の内容より低い賃金で勤めます。そして家庭を持ち、子供が育つころになる、“後の20年”は仕事の内容より高い賃金体系になります。しかも年功序列の組織体制ですので、真面目に勤めてさえいれば来年は今年より生活は楽になります。そして無事、前後の20年ずつを勤めあげると60歳。手厚い退職金や年金が待ち構えていますので、老後は安心、安定した生活を送ることができます。

まるで種類の違った社会主義体制を見る思いです。ですのでそこには個性や人と違う価値観を持った人間は問題視されました。“出る杭は徹底して打たれ”たのが、特徴です。私の子供の頃は得意科目を伸ばすより、不得意科目を無くする教育が行われました。学校では“校則”が絶対視され、長髪しただけで“不良”のレッテルを貼られました。喫茶店に入ったり、ギターをもっていれば、もう後戻りできないくらいの“不良”でした。

作られた企業業績が企業文化を崩壊させた

そうして作られた戦後の日本の体制ですが、ここで官僚はしっかり駄目押しをするのも忘れませんでした。所謂“東京一極集中”や“業界協調体制”、“護送船団方式”というやつで、業界団体を東京に作らせて、そこに参加している最低レベルの企業に合わせて、全体を守ったのですね。そして東西冷戦構造の中で西側に所属し、国際的な役割を果たすことなく、経済活動だけに専念。西側諸国メンバーからも特別扱いを引き出しました。本当の競争がないような安定した経済は、官僚の生業となり、安心、安定が重視されるに至り、著しく国際競争力を無くして行きましたが、それでも国際的な影響を受けない仕組みは図られました。
日本のサラリーマン社会は畢竟、自分達の中だけでの評判を最重要視するという歪んだビジネスモデルを構築してしまいました。冷戦の崩壊で荒野に投げ出された日本経済はこれまでの全ての日本式経営を維持することができなくなり、且つ無能な経営者を大量に増産していることが見えてきました。

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