名古屋という不思議の国のアリス

名古屋というのは不思議なところだと思う。随分以前、3年ほどの間、仕事の関係で月に2~3度は岐阜、名古屋に泊りがけで足を運んだことがある。その時はあまりこの地のことを特別なものと感じることがなかったのだが、それから職種が代わり、今度は約8年ほどの間、月2~3度東京に泊りがけで脚を運ぶことになってもその印象は変わらなかった。

劇的に変わったのは、名古屋のお菓子、いわゆるスイーツからだったように思える。名古屋というのは愛知県の一部ではあるが、岐阜や美濃、南は三重県のものが集約されているといってもいいのだが、そこで製造される和洋菓子からお土産物に至るまで、価格にしても、そのクオリティにしてもかなりのレベルにあると言える。例えば新幹線の駅の改札から徒歩5分以内で入手できるお土産品で言えば、全国でもトップクラスと言って差し支えない。それはやはりこの地域が観光ではなく、製造業の街としての誇りを持っているからだろうと思う。そう言えば、良きに悪しきに、この街ではモノづくりが重要視される。だからいまだにウェブ企業に対する一種の偏見のようなものも強い傾向があるのかも知れない。

さてその製造業についてだが、今度は名古屋について、それを感じられる場所に触れてみると、駅周辺の近いエリアに豊富にみられる。私が何度も訪れて感心する場所として、北に”ノリタケの森”や”トヨタ産業記念資料館”、東にずれて”名古屋城”、”徳川美術館”。南に下りて”ヤマザキマザック美術館”や”愛知県立美術館”、”名古屋市科学館”があり、ちょっと南に行くと”熱田神宮”から”リニア記念館”などがあり、それ以外にも大小合わせると計り知れないほどの施設がある。その上、そうしたものの増殖は止まらず、”レゴランド”や”ジブリランド”など拡大している。それに食の現場としても”名古屋メシ”も安くて、美味くて、かなり独創的と言える。駅から5分ほどあるけば柳橋の中央市場でもオリジナリティのある食事ができるのも嬉しい。

このような名古屋にはまだ外国人観光客は少ない気がする。少なくとも東京や京都、大阪の比ではない。それがいけないとか遅れているというつもりは全くない。むしろ名古屋がガイドブック等で外国人旅行客に知られるようになると、最も”外国人受け”するエリアに違いないからである。名古屋独自の文化に、先に述べたように岐阜や美濃、三重などの文化が融合すれば、その可能性は一気に広がる。

地域というのは、時代を追いかけるだけが能ではない。いやむしろ時代を追いかけるなどという脳のないことは東京一極集中地区に任せておけばよい。日本文化を感じさせる京都、観光客の取り込みで著しい成果をあげた大阪などのように、地域の活性化とはものまねでなく、コンセプトを創り出すことができるか否かにかかっている。丁度、イタリアがその街のコンセプトとして芸術のフィレンツェやファッションのミラノなどに分かれているようにである。

名古屋は金太郎飴思想にとっぷり浸かった日本社会が、その特徴を発揮できるようになるヒントを内包した”不思議の国”であることは間違いない。

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