若者よ。群れる勇気とエネルギーを持とう。

陽は昇る 私的日録
日々の移ろい・感受した
ことを書き連ねました

私は若い頃、”群れない”ことをモットーにしてきました。当時は世の中はバブル景気でもあり、群れていれば何の能力もない人間が”儲けのきっかけ”を容易に手に入れることができる社会だったので、私のような生き方は、いまで言う”アウトロー”的なものだったのだと思います。かく言う私も、幾度かそうした”群れ”の経験をしました。コネや縁を求めて、様々な人々が交流するのですが、当時はまだ社会が成熟していなかったのか、或いは今でいう既得権益者が全盛を極めていたのか、知識や知見を持ったような人々はほとんど見られず、求められるスキルと言えば”付き合い上手”だとか”コネが多い”、或いは”金を持っている”ようなものでしたので大いに失望させられたものです。

今では、バブル末期には人々は(特に企業の役員や経済評論家、メディアなどが顕著ですが)、大いにその危機に対応したように言っていますが、当時のことをよく知るものに言わせると、1989年頃、つまりバブルの末期になっても、危険を感じる人はほとんどなく、その後4~5年経ってもバブルが崩壊したことすら実感できず、バブル期に活躍した人を現場に戻して回復を図るなどという”珍事”が続いたものです。

その頃になって、私のような生き方に対する羨望のようなものが表面化してきました。時代はITに推移し、企業は業績の悪化を背景に、それまでも戦後型日本企業経営方式をいともあっさりと捨て去り、経営者は従業員の生活や幸福、企業倫理などより自分達の評価のみを優先する経営に転換してしまい、現在に至っています。今の若い方にはそうした日本の戦後の企業文化の変化など、知る由もありませんし、知っても何の助けにもならないかも知れません。


最近、20歳代の民間企業(特に今風と言われる会社の方が多いのですが)のサラリーマンの方に呼ばれて、話をする機会が増えているのですが、どうも彼らは間違った方向性に歩を進めているように思えてなりません。彼らは可能な限り、自分の時間や空間を確保することを重視して、特に人との交流はウェブなどで済ませてしまうのを良しとしています。しかしひとつだけ役に立つアドバイスをするとしたら、それは”これからの若い人には、群れることに躊躇しない。群れるエネルギーを持とう”ということです。確かに30~40年前であれば、群れるだけで学ぶことをしなかったことは良い結果は生まなかったであろうし、それは個々の人生にも良い影響はもたらしませんでしたが、現在は背景が変ってきています。これからの社会を生きる若者で、公務員や安定企業に入って安泰な人生を目指したいと考える人でないのであれば、今こそ”群れる勇気やエネルギーを持つ”ことこそ、このあとの幸せに繋がる可能性が極めて高いと言う事を知ってもらいたいと考えるのです。

新たな時代のパーソンには、以前と違って特別なスキルを持つ人たちが多い傾向があります。しかしそれらを繋ぎ合わせる”つなぎ”がないので、その新しい力が活かせません。能力のある世代が組織的に集約できれば高い生産力が可能となり、そのためには群れから得られる組織と、それをまとめる倫理や哲学が伴うことでそれが可能となるのです。”若者よ。今こそ群れる勇気とエネルギーを持とう”。

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