新規個人事業者が陥る罠
数年間、爪に灯をともすようにして蓄えた資金で、個人事業を始められながら、僅か半年くらいで立ち行かなくなり廃業に至るケースが後を絶ちません。事業に計画性が欠けていた場合もありますし、問題を抱えての判断もあり得るのですが、かなりのケースで”罠”に引っかかったと思えるものも少なくありません。特に不景気だと言われるようになると、この手のご相談が増えます。
そもそも、ビジネスを始める時には、その業種は勿論、店舗を持たれる場合も、そうでない場合も、自分の知らないジャンルの”専門業者”に頼る部分が少なくありません。例えば店舗を出される場合には、良い物件を探してもらったり、店舗設計を依頼することが最低限必要となります。しかしこうした業者が必ずしもあなたのことを大切に思って対応してくれているとは断定できません。断定できるのはあなたのお金を大切に思っていることです。時には物件を探してくれていると思っている業者と貸主、それに伴う資材提供業者などが”協力”していることも少なくないのです。
背景を充分学ぶことから、企業は始まる
いくら資金を準備したと言っても、いくらかの借り入れは発生します。そのお金で店舗を借り、店舗用の資材を購入して、人を雇うのは並大抵のことではありません。しかしそのような経験をしたうえで起業することはやはり至難の業と言えます。あまりにも無防備な状態で、ジャングルに行くようなものでしょう。起業すると言う場合、誰を信用して、誰を信用しないかの判断が重要となります。先日の一例をご紹介すると、800万の自己資金と借り入れが600万で飲食店を始められた方でした。大阪でも賑わいのある街の駅前徒歩10分の場所を紹介されて即断。不動産業者に必要な店舗資材の提供業者を紹介してもらったのですが、害虫被害に晒されたり、せっかくの稼ぎ時である夜の競合環境などがあり、すぐに立ち行かなくなりました。廃業に際しては別の業者に店舗資材の引き取りを依頼しましたが、ほとんど二束三文でダンピングせざるを得ず、後々になってこれらは最初から仕込まれていたことが判明したということでした。
しかし残念ながら、全て契約後に判明したことで、勝ち目はありませんでした。もし、これから起業の準備を始められるのでしたら、貴方の資産を無駄にしないためにも、充分な注意を払って頂きたいと思います。