“やはりあったか”。国民が幻滅した、大手電力会社と原発誘致先との金銭的癒着体質と、和歌山市民図書館建設に見る、「政治・官僚・民間」の官僚利権の実態

CCCとRIAのトラブルの実態は根の深い利用者無視の姿勢

CCCは公共施設の指定管理業者として、全国の図書館の運営などを請け負っています。ちょっとあげるだけでも、「武雄市図書館・歴史資料館」「武雄市こども図書館」「海老名市立図書館」「海老名市立図書館」「多賀城市立図書館」「高梁市図書館」「延岡市駅前複合施設エンクロス」など、目新しい施設が目白押しです。

佐賀県の武雄市図書館は、ずいぶんメディアで新しい名所として騒がれましたが、埼玉のラーメン本の古書ばかりが購入されたりして、「ゴミ本ばかり」とか「TSUTAYAの不良在庫の捨て場」だと市民の住民訴訟に発展していますし、海老名市立中央図書館でも同様の騒動を受けて、海老名市の教育長が「CCCの関係業者からの購入はさせない」と発表する騒ぎとなりましたが、そもそも海老名市側にも、充分なチェックがなされていたかといえば、今更そう言われても、どうしようもないという点では同罪とも言えます。

他方、RIAも同様で小牧市こども未来館と子育て包括支援センターの業務を受託しましたが、この見積もり価格が市の予定価格と同額であることが発覚するだけでなく、契約見積書自体を改竄したことも発覚しただけでなく、今回の和歌山市民図書館についてもCCCの指定管理者となる前提で行われる疑惑など、次々に発覚しています。

武雄市図書館の実態と、それを伝えないメディア

しかしこれだけの問題のある企業が、全国に進出しているのに、提灯持ち報道が盛んなメディアにも責任はあるでしょう。武雄市図書館が完成した時には、全国ネットで盛んにこれが画期的な新事業であるというのは覚えているでしょうが、そこがこれほどトラブルを起こしている事実は、あまり報道されません。武雄市図書館では、その後、何が起こっているのでしょうか。

CCC運営のツタヤ図書館は、郷土資料の大量廃棄が問題視されたり、傘下の企業から大量の古本を購入していたことが発覚して謝罪に追い込まれるなど、不祥事が続発していますし、かなり下駄を履かせているとも思える入館者数も「駅ビル通過者をすべてカウントしているだけで、本来の図書館の利用者ではない」という指摘があります。しかしそれ以上に耳を傾けなければいけないのが来館者の質です。
大半が近郷からの、一過性の“半観光客”で、テレビで観たからとかですから、賑わいはCCCのスタバくらいで、地域への経済効果の実感はないと言います。

実は筆者もここが開館した直後と3年後に2度訪ねたことがあります。直後はテレビの効果や地域の期待もあって、大変賑わっていましたが、3年後は閑古鳥が鳴いている有様でした。まだその頃でも、経済番組でえは地域振興の切り札として、武雄市図書館が紹介されていたのが大変違和感があったものです。

昔から“うまい汁を吸う”という言葉があります。政治誘導で官僚が仕掛け、あまつさえ、それが目立たないように政・官の息のかかった民を盾にして、巨額の税金を引き出し、その中の上澄み(と言っても莫大な金額になりますが)を、一部の関係者だけが分け合っている構図を見れば、その始まりはまさに冒頭の関電やその他の大手企業の言動など、誰も信用できないと感じ(それは正しい実感なのでしょう)、やがて怒りに変ってゆくのでしょう。ツタヤというと、何か凄い先進企業だというイメージがあるのですが、所詮は政・官と悪い意味で結びついているに過ぎないのかも知れません。

私たちは何度も、政治や官僚から幻滅を味わされてきました。そして今では一部の既得権益の“民”にも同じような幻滅を感じます。我々は既にそんな時代は当の昔に終焉を迎えていると終わっているのではありますが、またそんな時代が日本の国の命運にも暗い影を落としているにも関わらず、一向に省みられることがないばかりか、“日本の国体”となり果てている現実にまた、深い幻滅を味わうことになるのでしょう。

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