レライアンスの仕事① 「会社を辞めないと生活できない」依頼者

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ご連絡いただいたのは、55歳。市内のメーカーで営業を担当されており、会社の制度上部課長などの役職はありませんが、「リーダー」と呼ばれ、部課長の仕事を兼務されている方でした。会社としての給与体系などはしっかりしていていて、彼自身生え抜きでもあり、そこそこの給料を支給されていたので仕事の拘束時間は長いことも苦にもならず、家族5人(夫婦子供3人)で安定して暮らしてきたつもりであったと言います。

一気に起こった環境の変化

変化は一瞬だったと言います。3人目を大学にやった直後、アメリカのリーマンショックの影響などで会社の業績が落ちたのが始まりで、その後両親が次々に長期入院と介護状態になる不幸が続き、会社経営に銀行が介入、人員整理、人件費カットなどお定まりの行程を経ました。会社のあらゆる手当は廃止となり、営業手当に集約され、残業禁止、ボーナス廃止となり、手取りは40%近く減りました。最も痛かったのは2代目の社長で、負債の返済額を見てやる気をなくしてしまったのか、それでなくても難しい舵取りが必要な時にも関わらず、銀行の言うなりとなって、毎日5時には真っ先に会社を出て、居酒屋に通う状況で、当然会社の士気など上がるはずもありません。

シミュレーションして決断、そしてその後

ご相談に来られたのは、それが定期的にしている“無料相談”であったので、名前も具体的な事も伏せられた上でした。ですのでこちらも具体的なお話しができなかったのですが、後日改めてご依頼をいただき、具体的なことを伺うことができました。
昨今よくある例でしたので、こちらの初期対応はさほど難しくはありませんでした。その場でExcelに現在の資産や具体的な給与などの“入り”を入力。その後、学費や医療費、生活費など“出”を伺い、ローンなど必要となる別途要因の数値、ご家族の病歴や健康・体力状態、日常生活の様子などを含めたファクターを入れて行き、今後の人生設計のシミュレーションをします。この場合、不確定要素は無視したとしても、かなり簡単に5~10年、20年後の生活が類推できます。
氏の場合は蓄えもあったのですが、負の要因の数値がかなり多く、それも固定出費に近いものがあったので、10年後にはかなり厳しい状態になることが容易に想定出来ました。ここまでは、比較的簡単な業務です。問題はこの後、氏が、氏の家族が、どのように“まだ見ぬ状況”に対応するかです。

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決断、そして再考…

それから時間をおいて氏は充分に考えて、奥さんとも相談を重ねて結論を出しました。それは会社を辞めて独立することでした。氏との関係はそれから始まったとも言えます。
私はお話しの様子などから、氏が独立の結果を出すことはある程度想定できました。しかしそこには大きな落とし穴があることも理解していました。
そこで、氏にはパソコンの扱いや、発想力、独創性など多岐に亘ったチェックをしました。長い間、決められた商品の営業をしてきたことはそれだけではプラスではありません。また氏の発想力には根本的な問題もありました。人には「有利なものを好きなもの」と感じる傾向があり、氏もまた同様でした。


私達は結論として、リスクは高くとも「独立」でなければ希望は叶わないことを説明した上で、そこに横たわる“負のリスク”について、綿密に、且つ具体的に羅列しました。氏は最初、独立の答えを出されました。私達はクールダウン期をご提案して、充分な再考期をとってもらいました。最初に打ち合わせをしてから5か月。氏は自分の姿を見い出せたのでしょう。ひとつの決断を出しました。

氏が出した結論についてはここでは割愛しましょう。ただ少なくとも現在、氏は想定された一つの大きなリスクを乗り越えた後、満足した選択だったと仰っていただいています。まだまだ先は長いですが、この状態が続く事を祈りたいと思っています。

こうしたコンサルは「こうすべきだ」とか「このままではこうなる」などは簡単に出せるものです。しかし、「こうするためには、あなたはどうすれば良いか。或いはあなたにできるか」とか「このままではこうなるが、こうすればこのような結果となる」という判断まで出さなければ、畢竟、クライアントに丸投げすることになります。

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