つくられた”好景気”の陰で ― “堀を埋められる人々”が急増

最近ご相談件数が急に増えてきているのが、サラリーマンの人生相談のご依頼です。具体的には、「会社は辞めたくないが、辞めなければ生活ができなくなる」というものや、「会社内に既得権益者層ができあがってしまい、現場に意義ある仕事ができない状況となり、このままだと無意味な仕事に従事する、社会的無能者になってしまうような気がする」というような身の振り方に関するものが中心です。こうした問題はあまり表面化しないケースがほとんどですが、実際はこれに悩んでいる人が大変多く、ご相談される年代は定年前の方が急増していて、その次に30歳後半から40歳前半と続きます。

“肩たたき”の慣習は形を変えて巧妙に存続している

且つて、“肩たたき”とか“窓際族”という言葉が流行りました。企業業績の悪化と言うより、管理職の無能化が露呈したことで、それまでの日本式経営が日本の特殊な“環境”にあったことが次第に暴露されていたことがその背景にあります。会社で不要になった(と判断された)年長者社員を窓際の席に置くのですが、それは“不要者”を象徴するものでとても看過できるやり方ではありませんが、当時は対象となったのが団塊の世代ということもあり、見過ごされた感があります。やがて上司がそんな窓際写真の傍らにやってきて、ポンと肩を叩き、「君もそろそろ身の振り方を考えたらどうだ」と暗に自主退職を強要するやり方で“肩たたき”と呼ばれました。これに対して一部の団塊の世代は、新しい事業を興す原動力となり、それが企業を立て直すことに繋がった例もありますが、畢竟、その原因は企業の経営者の状況対応への未熟さや無能さにも関わらず、責任を現場に投げて済ませようとしたことで、そもそも現場の社員にはあまり責任がないケースがほどんどであったと言って良いわけですから、一時的に経営が改善しても、原因が改善されないので末路は同じでした。

実は今も同じような現象が起きています。最近のご相談で急増しているのは、かつての“肩たたき”や“現場を虐めて居づらい状況にする”“サービス残業を強要する”“ブラック企業化する”などはありません。このようなやり方は今では露骨すぎますので、企業も新たな方法を考え出しました(その分を経営能力の向上に充てれば良いのですが)。それは現場に「何もしない、させない」事です。そして経営の悪化の責任を現場に押し付けてボーナス廃止や給与の引き下げを行います。そして反面、残業禁止、名目上の休暇消化(有給ではなく)など耳障りのよいことも行いますが、現場の働く意力や業績の悪化を招くことを十分承知した上での方策でもありました。
これ自体、企業の存続が望めない愚策のように思えますが、実は経営者が業績を回復させる能力がない場合、M&Aや会社の資産の大型企業に譲渡する方法として通常4~5年かけて会社の自然解体をすることで、“社員など末端にはしわ寄せが行っても、上層部グループが生き残る手段”として密かに進められている方策です。

サラリーマン世代の大きな環境の変化

では、「会社を辞めないと生活できない」とはどういうことでしょうか。日本企業は戦後日本式経営と称して安価で言われたまま働く若手を育成してきました。特に数の多い団塊の世代は絶好の対象です。企業は終身雇用制や退職金制度を前提に、20歳くらいから40歳くらいまでの世代を平均給与よりはるかに安く働かせました。その頃の日本では40歳くらいまでは家庭を持ってもさほど支出は嵩みませんでしたから、愛社精神を謳い、会社を村社会化すれば、いくらでも人はいました。そして、進学などお金がかかるようになった40歳以降定年までは、仕事以上に賃金を上乗せして退職金までの20年を引き留めます。大きな退職金と年金(その頃の年金受給者には当初の数倍の金額が支給されています)を手にするまでは結構安泰で、社内の仕事も坐業が多く、写真は幸せを享受してきたことでしょう。しかしこんなビジネスモデルはそもそも継続的に成り立つわけがありません。

やがて東西冷戦の崩壊やグローバリゼーションなどで、企業業績は劇的に下がりました。安穏とした経営で能力のなくなった企業経営者や経営陣は有名無実化していましたから、そんな時代に適合できるのは僅かな経営者に過ぎません。これまでのサラリーマン文化、日本式経営を悉く“外圧”と称して翻し、給与は下げるわ、退職金はなくすわ、やりたい放題状態が看過されはじめました。勿論業績が悪化すれば、それなりの方策も必要ですし、日本式経営がいつまでも続くものではない訳ですから、いずれはそうなるのでしょうが、質が悪いのは会社がお仲間クラブ化していますから、責任者が責任を取らずに現場に責任を押し付けて平気な企業文化が生まれました。そしてそれが主流となっています。

「会社を辞めないと生活できない」とは

40歳以降の給与の引き下げやボーナスをカットされ、且つ退職金もどうなるか分からない状態となり、年金支給も突如5年先延ばしされたサラリーマンにとっては、このまま会社にいると僅かな収入はありますが、出費比較で生活ができなくなります。なによりこうしたサラリーマンを打撃するのは、本来ならしっかり働いて業績をあげることで収入アップにしようとする意欲を削ぐ無能な経営陣でしょう。業績があがらなくても平気な姿勢に絶望することも増えてきます。

「ローンが返済できない」とか「介護でまとまったお金が必要」「生活設計が成り立たない」「会社の将来性に絶望」などの理由で、一旦僅かでも退職金でリセットしなければならない環境の方が急増しているのが現状ではあります。世間ではバブル期以上の好景気や株高と言われていますが、1989年年末には民間景気で40000円あった訳ですから、今のように一方的な大企業優先を進める所謂”官製好景気”20000円とは比較になりません。もうごまかしは止める時期には来ていると実感します。

この話は、都心部ではあまり好感されません。はっきり言って東京では実感が湧かないからです。日本は企業も情報も東京一極集中ですから、同じ一極集中の象徴である報道でも、よほどの事でない限りこのようなコンセプトの報道はありません。しかし一歩地方に行けば、或いは東京以外の都市部(というのがあればですが)では、とたんに具体的な課題になって行きます。

レライアンスでも、こうしたご依頼を請けるのですが、背景は同じでも、年齢やこれまでの人生、考え方、個人的なスキルによってそれぞれ違います。この記事を前提に次のブログでは具体的な対応についてご紹介して行きます。

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