泉佐野市のふるさと納税“騒動”。ほんとうに一般市民は好感をもっているのだろうか

ここにきて、泉佐野市のふるさと納税騒動は一気にエスカレートした感があります。総務省から名指しで批判されたことに対する腹いせなのか、市民に対する行政サービスなのか、様々な意見が飛び交っていますが、メディアなどで報じられるのは比較的好感を持っている市民の姿です。

“おいおい、それはないだろ”というのが私の率直な意見です。元々のふるさと納税の目的やマイナンバーカードを普及させるためという裏目的論、納税金の使い方や報償品の使い方など、論点は様々でしょうが、その前にもっと重要なことが抜けているというのが私見です。それは、これが民間企業で、自らの事業で稼いだ収益で行うのであれば何も問題はありませんが、100億円の財源は税金であるという点です。

現在国会では、連続する厚生労働省の不祥事で大揉めですが、これでもわかるように公務員は失敗の責任を“すべて税金で補充する”というのが当たり前という感覚を持っているという点です。民間ではそうは行きません。始末書や解雇通達も受けるだろうし、時には逮捕者も出るかも知れないことです。本来ならば有権者、或いは納税者と言ってよいでしょうが、これらが公金の使い方には厳しい目を向けるべきでしょう。

そもそも泉佐野市は且つて関空バブルの時には、その見通しの甘さと一部の既得権益者の利益を優先させたことで、市の財政の根幹を揺るがすような事態を起こしましたが、今度はその同じ役人に、単に政府が“全国の市町村”に向けて行った政策をある意味、勝手解釈したに過ぎないわけで、そのあとのことは想定できないのでしょうか。

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1つの市に分不相応な公金が流入する。今の日本の公務員の資質からすれば、そのお金がどのように使われるでしょう。“悪用”とまで言いませんが、無駄な施設や道路、無意味なイベントを立ち上げ、そのお金は様々な意図を持った業者を呼び寄せます。また、その多くは既得権益者の懐を満たすでしょう。また公務員の給与をはじめとした待遇は益々よくなるでしょう。第二、第三のふるさと納税バブルが育つ土壌ができあがります。

“バブル”というのは、最初、分不相応な金銭を手にすることから始まります。そしてそれが永久に続くかのような勘違いを生みます。そしてそれが金銭的な瓦解を起こすまで、だれも修正をかけないものです。総務省が改善を示唆するにも関わらず、100億の税金を投入してまで税収を確保とする今回の泉佐野市のふるさと納税が、今後市民にどれほどの被害を与えるようになるかは分かりませんが、2つわかることは役人にはビジネスセンスなどないということ。そしてそのツケは市民が“不平等に負担”しなければならなくなるということでしょう。

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