【定年退職をして始めて知る あなた自身の姿】来るべきその時のために知っておきたい5つの現実

「軽く考えてはいけない“心の問題”。家族、友人、孤独…」

プラスに感じることが次第に少なくなってゆく定年退職者の多くの声として、軽く考えてはいけないことが“心の問題”です。これは老後資金やオレオレ詐欺などと比べると、それほど大きなショックにはなりませんが、静かに確実に気持ちを萎えさせて行きます。また、他のものが対策があったり、注意を怠らなければある程度、予防できるのですが、心の問題はそれが効き難いものでもあります。

定年後にボディブローのように効いてくる4つのK。「家族」「結婚」「故人」「孤独」

「家族」とは主として配偶者です。これまでのサラリーマンは定年退職をマラソンのように考え、60歳をひとつのゴールと考えますが、家庭の主婦はそのような感覚はまったくありません。これまで通り、1日1日の繰り返しです。だから定年となったのだから1年くらいは充電するとか、定年後、妻と一緒に旅行でもというのは、あまり理解されません。逆に仕事を辞めて家にいるのだから、これからは家庭のことをもっとやってもらって当然だと考えるもので、そこに意識の大きな齟齬が生まれます。

「結婚」は子供の結婚です。特に女の子を持っている父親の喪失感は普通ではありません。この頃になると娘も社会人ですから、一緒に飲みにも…などと考えるのですが、ある日、知らない男のほうが重要になっていることを知ります。その点、母親はそうではなく、早く片付いてくれてホッとするもので、昔を思い出して“もうあの頃の娘は…”などと考え出すと、深く沈んでしまいます。

「故人」は友人の死のことです。60歳前ならば、同年代が亡くなるのは事故などであって、稀なことでした。しかし、同年代で死ぬことが普通だと思い始めると、不安や寂しさが募ります。30年来の友人だとか、会社の同期などが、病気などで故人となると、いつ自分がそうなってもおかしくはないので、頻繁にあと何年…と考えるようになります。

最後が「孤独」です。これは“独りぼっち”の意味だけではありません。いろいろな心の問題がジェンガのように希望をひとつひとつ抜き取って行くことで、“自分に何が残っているのか”と自問自答することになります。人としての孤独、残り時間の孤独、心の孤独…。それは静かにやってきます。悠々自適な生活をしても、生活費カツカツの生き方であっても、人である以上この不安からくる“孤独”には太刀打ちはできません。

いずれも年齢と共に訪れることですし、抜本的に食い止めることはできないことです。しかし、実際にその状況に接することで、気持ちの落ち込みがボディブローのように効いてくるものです。

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