文部科学省のGIGAスクール構想は、未来への希望か、単なる焼け太りか

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GIGAスクール構想とは

文部科学省は2019年12月19日、文部科学大臣を本部長とする「GIGAスクール実現推進本部」を設置し、GIGAスクール構想をスタートさせた。GIGAスクール構想をひとことで言うと「児童生徒1人1台端末、および高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる構想」ということになるのだが、もう少し深く説明すると、次のようになる。

「日本国内の学校ICT環境の整備は遅れていて自治体間の格差も大きく、全国一律のICT環境整備が急務となっている。そこで文部科学省は2019年12月、児童生徒1人1台の情報端末、および高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰ひとり取り残すことのない公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させることを目指す、GIGAスクール構想を予算化した。

当初、2020年度までに全国の小学校・中学校・高等学校等で高速大容量の通信ネットワーク整備、2023年度までに全国の小学校・中学校で段階的に生徒児童1人1台のPC端末を整備するというスケジュールだったが、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う臨時休校が長引く状況を踏まえ、1人1台のPC端末整備についても2020年度中に全学年で目指すこととなる。そしてGIGAスクール構想の実現に2019年度の補正予算2,318億円が充てられることになった。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大による臨時休校が長期化し教育課程の実施に支障が生じる事態に備え、今回のような事態にも対応可能な遠隔教育など、Society 5.0の実現を加速していくことが急務となり、令和2年4月閣議決定で「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として、令和2年度補正予算案において総額2,292億円が計上され、1人1台端末や、家庭でも繋がる通信環境の整備等、GIGAスクール構想におけるハード・ソフト・指導体制を一体とした整備を加速させる方針を確認した。当初のスケジュールでは23年度中の1人1台端末配備であったのが、これを前倒し、20年度中の完了を目指すことになった」

管轄省庁の予算の分捕りの臭いが払拭されないその内容

これが本当に実現し、役立つ使われ方をするのであれば、国民は納税した価値を実感できるのであるが、相手は中央省庁の中でも予算の使い方に疑問符がつくことの多い文部科学省である。そこは注意が必要だ。

令和元年の補正予算全体では「未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・工場」として、1兆771億円が計上された。うち、4833億円が「Society5.0やSDGsの実現に向けたイノベーションと社会実装の促進等」の名目上で確保されている。GIGAスクール構想は、これと名目の似通った「Society5.0時代を担う人材投資、子育てしやすい生活環境の整備」の2983億円の中の2318億円であり、かなり曖昧な線引きともとれないことはない。また同時に
305億円は「外国人観光客6000万人時代を見据えた基盤整理」、2650億円は「生産性向上を支えるインフラの整備と切れ目のない個人消費の下支え」に充てられていて、全体からすると言語明瞭ながら具体的内容に乏しい、霞が関の官僚言葉で綴られているように思えます。まして東京オリンピックもインバウンド需要も物理的に活用できないようになった現状では、その運用には厳しい目が向けられるのですが、文部科学省としても積極的に説明する姿勢が求められることになるのは義務とも言えることですが、ここでも官僚の慣習で処理されることに終始するようにも思えます。

この計画に合わせて市場でも日本HPが、GIGAスクール対応のノートPC4機種発売したり、エルモ社が、GIGAスクール構想向け新モデル電子黒板を発売することなどを発表したが、予算規模から見るとおおよそ小さな変化としか言いようがなく、ほんとうに予算額に見合った成果をあげられるかといえば、かなり厳しいと感じざるを得ません。

実際のGIGAスクール構想の中身を吟味すると

すこし考えなくてはいけないのは「児童生徒に1人1台端末」「高速大容量の通信ネットワーク」がその基本的目的であるという点です。文部科学省の調査によると、2020年3月時点での学校現場における学習者用端末の導入台数は児童生徒5.4人に1台程度と日本の学校ICT環境の整備は遅れており、自治体間の格差も大きいのが現状だと言います。令和時代のスタンダードな学校教育像である「子ども達への公正に個別最適化され創造性を育む教育」の実現には、全国一律のICT環境の整備が急務となっていて、この課題に対し、文部科学省では、義務教育段階にある小学1年生から中学3年生の児童生徒向け学習用端末を1人1台導入するとしていますが、それも1人あたり最大4.5万円の補助に過ぎず、端末を同時接続しても不具合の起きない、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとしている点でも、整備費用の2分の1を補助するという、あくまで中央官庁から地方へ、予算を下賜してやるという構造であり、文部科学省が責任を持って事業目的を完了させるというような気構えのようなものを感じるのは困難です。

最初の一歩でつまずかない為にとはいうけれど…

文部科学省が全国の学校に対し提示したGIGAスクール構想ではありますが、あくまで主体的に進めていくのは各自治体となるとされています。つまり「どんな端末を使用するか?」とか「どのようなLAN整備をするか?」などの責任は各自治体となり、その対応が最初の一歩でつまずき、対応が後手後手になることが想定されるとしています。そこで文部科学省では、GIGAスクール構想の実現パッケージとして、下の5つを示していますが、正直、そこまで細かで、おおよそ地方だけではできそうもないようなことを言うのであれば、責任を各自治体に押し付けるのではなく、文部科学省が責任を持って進めるべきではないかとも思いますが、参考のために紹介します。

1、環境整備の標準仕様書例示と調達改革…ICT環境の整備や調達をより容易にするために、端末やLAN整備の仕様書を公表すること、また都道府県レベルでの共同調達を推進すること

2、クラウド活用前提のセキュリティガイドラインを公表し、クラウド活用により使いやすい環境を整備するために、『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』改訂し、クラウドサービス事業者の留意事項を追加する

3、学校ICT利活用ノウハウ集公表し、全ての教職員がすぐ使えるようにするために、教育の情報化に関する手引を公表、ICTを活用した効果的な学習活動の例を提示する

4、関係省庁の施策との連携のため、ローカル5Gや教育コンテンツも活用し未来の学びを実現するため、総務省はローカル5Gの活用モデル構築、経済産業省はEdTech導入実証事業、学びと社会の連携事業を促進

5、民間企業等からの支援協力を募集するため民間等の外部支援により導入・利活用加速するため、校内LANなど通信環境無償提供、十分なスペックの端末を学習者へ提供、ICT支援員として利活用の人的サポート などを行う

大切なのはこどもの将来。決して役所のメンツではないことを肝に銘じよ

もっと懸念するのは、文科省の目的は省のメンツや利益に終始していないかという、いつもの視点です。どこの会社組織でも、縄張り意識が高く、能力の欠けた経営者や部課長がその事業の発展を阻害しているというのは普通にあることです。大切なのは、そのようなものではなく、実際にGIGAスクール構想を受ける生徒の未来、将来です。2020年になった現在になって、子供のIT教育の文部科学省としての役割として、単にPCを子供全員に配り、高速大容量の通信ネットワークを整備するというだけというのでは、そもそも遅れ過ぎてはいないか、今まで何をしていたのかとも感じます。そのような組織に予算を付けただけでは高い効果は期待できません。非認知能力やメタ認知能力が重要視されている現在、重要なのは子供達の能力を活かしてゆくことに真摯に向かい、結果を出すことのできる総合的、且つ具体的な方法であり、それを検証するシステム。責任の明確化などありますが、もっとも大事なのは、日本のこどもの未来、将来を考えることです。

これまでの文科省の歴史をみると、常に間違い続け、批判の対象になり続けてきています。私はそもそも子供の教育は各都道府県に任せるべきで、文科省(元々は文部省でしたが)など不要だという考えですが、国の仕組みとして存在するのですから、予算をとったらあとは地方にお金を投げ落とすのではなく、小さな規模でも良いので、本当にこどもの役に立つことを実行すべきでしょう。また私達は使われた予算をどれだけ確かな成果に繋げているかという点に重要な関心を示すべきでしょう。

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