繰り返される原発事故 人類に原子力発電をする資格はあるか

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1、くすぶり続ける“FUKUSHIMA”。世界は日本を見ている

福島原発事故の2011年から8年を経た今でも、海外では日本からの農水産物輸入について安全証明や停止措置が求められています。これは韓国が日本叩きに使うとかいう問題ではなく、放射能汚染リスクに対する判断で、過剰反応とか風評被害という言葉で済まされないマターと言えます。

例えば、イギリスで日本食レストランを経営している方の話では、常連客が減っただけでなく、足を運んでくれた方でも、いまだに「放射能は大丈夫なのか」とか「日本産の食材は使わないでほしい」という要望があると言うのを聞きましたし、ローマでも地元メディアが、興味半分で福島の水産物の放射能汚染のニュースを伝えるので、またはニューヨークの寿司バーでもお客からの「放射能は大丈夫か」という問い合わせがまだ続いているので、売上げはかなり落ちたと聞きます。また実際に中国や香港では、店頭に「日本産の水産物は使っていません」という張り紙があるのを見ました。

特に、日本政府の原子力安全保安院と原子力安全委員会が以前、原発事故の国際評価尺度を最悪のレベル7にまで、一気に2段階も引き上げた時には、その影響は酷かったようで、実際に廃業に追いやられたケースも少なくなかったようです。レベル7への評価下げの問題は、単に現場の状態を見て情報の開示をしたというのと訳が違います。これまで技術力は品質管理で世界的な信頼を得ていた日本が、原発事故で制御不能に陥ったことを認めただけでなく、東電が事故現場の高い放射能汚染水を近隣諸国に事前通達もせずに海に垂れ流したことで、日本に対する信頼が音を立てて崩壊したことを意味します。これほどのことがありながら、東電が公表した福島第一原発の事故処理案・行程表には矛盾や無理があり、専門家からは「これほど楽観的にものごとが進むと言うのは、科学者としては聞き捨てならない」と言う声を聴きます。

2、危機を加える中国、韓国の原発事故リスクは日本を直撃

FUKUSHIMAだけではありません。日本は中国や韓国、北朝鮮など核実験を繰り返したり精度の低い原発を乱立させる国に囲まれています。ここで精度の低いと言ったのは、単に揶揄する目的ではなく、実際に事故が多発していたり、問題が多いからです。それぞれの国について検証してみましょう。

且つて中国では外国製の原発を模倣し、国産の改良型原発を主流に国土に数千の原発を造るというのを国是としてきましたが、福島原発事故を受けて急ブレーキがかかりました。これについては冷静な方向転換ということで評価できます。以前、新聞記事で見たのですが、中国では最初の秦山原発1号機は国産機でしたが、それ以外は外国製で、フランスのフラマトム(現アレバグループ)や、ロシアのアトムネフチ、東芝グループの米ウェブチングハウスなどで調達したそうです。その後、広東核電集団がフラマトムから導入した原発を改良した「CPR1400」を開発して、中国改良型の原発を主流にする路線を辿っていましたが、一部の説では、中国の原発専門家がCPR1400の安全性を指摘したり、中国の工事現場の手抜き実態を理由に路線変更を上申したということです。

 

余談ですが、以前中国の大連の外国企業の集積地に進出していた日本企業の方々から、もうすぐ原発が完成するので、電力供給は安定して、電気料金も格安で利用できるようになると言われたと聞きましたが、それが大連から160キロほど離れた渤海湾に面する海岸施設で、108万キロワットの発電力のPWR(加圧水型軽水炉)4基のことでした。その時、調べたのですが黄河沿いの内陸部の原発では断流(川が干上がることで、黄河でも起こるもの)リスク対応がとれておらず、そうなると核施設を冷やす冷却水がなかったり、あっても溢れ漏れた放射性物質が黄河に流れ込むことが想定されるとのことでした。

韓国が危惧する中国の原発事故の影響

最近でも中国のオルドス高原で舞い上がった黄砂は、日本に及んでくることが知られていますが、現在稼働中、或いは建設中の中国の原発の大部分は、先程の渤海湾も含めて、韓半島に面した東海岸部に集中しています。ここで原発事故が発生すれば中国本土はそれほどでもありませんが、偏西風に乗って韓半島や西日本全体が深刻な危機に見舞われるということです。1986年のチェルノブイリ事故の時に風に乗って放射性物質が移動して多大な被害を受けた、ベラルーシと同じことが起こるというわけです。(※ベラルーシには原発はありませんでしたが)

 

韓国の原発の専門家の試算によると、中国江蘇省連雲港にある田湾原発で事故が発生すれば、早ければ3日以内に放射性物質が韓半島に到達するということです。江蘇省とソウルの距離は約970キロメートルですから、西日本には4日で到達することになります。

原発事故も不安な韓国の原発事情

福島第一原子力発電所の原発事故を受けて行われてきた水産物検査で、韓国沿岸で獲れた水産物2000件のうち、33件から放射性物質が検出されました。政府の説明では食べても“ただちに人体の影響はない”という常套句でしたが、問題はその33件のうちの27件が、日本から近い釜山や慶尚南道の沖合で検出されたこと。そしてそのほとんどが海流にのって移動することのない、ワカメや昆布から検出されたことです。

実は東海岸沿い(東側の隣国沿い)に原発を造るのは、何も中国だけではありません。韓国の原発も韓半島の東海岸などに集中していて、事故があれば300キロ(東京-米原)と離れていません。
そして比較的頻繁に韓国では、原発事故が起きています。

少し思い出すだけでも、まず 韓国・釜山(東海岸)にある古里(コリ)原子力発電所が、1990年から97年にかけて、他の原発と比べて排出量が3000万倍の放射性物質「ヨウ素131」を、垂れ流していたと韓国のメディアが伝えました(ヨウ素131は、甲状腺がんを誘発する物質)。

最近でも、2019年5月には、南西部の全羅南道・霊光にあるハンビッ原子力発電所1号機で原子炉の熱出力が制限値を超えて急上昇したのに、即時停止を定めた運営指針に反し、運営会社の韓国水力原子力(韓水原)が停止させたのは異常感知から約11時間半後だったようです。
昨年の6月には 韓国の月城(ウォルソン)原発3号機の重水漏れで現場作業員29人が被爆、ここは2017年10月にも同様の事故を起こしています。

もちろん韓国も中国も事故を起こしたいわけではなく、様々な手を打ってくるのだとは思われますが、問題はそうであっても現実には事故が繰り返されることにあります。また原発が自国に影響の及ばない海岸沿いにつくるのは、少しでも自国民に対する被害の拡大を抑えようとすることであり、これは日本も同じ発想と言えます。大きな問題は、それでいても事故は起き、被害は拡大する。そして、それを国はどうしても混乱を避ける名目で隠蔽してしまうことにあります。先の韓国の事故にしても、古里(コリ)原子力発電所で放射性物質「ヨウ素131」を大量に流出したのだから、海流に乗って日本海側の沿岸は相当な汚染を受けたと考えてもおかしくはありません。しかしNHKニュースでは決して報道されもせず、日本人は誰も知らないのですから、パニックの誘発を危惧する政府が同等の対応をするのは、当然と言えば当然のことかも知れません。

3、アジアだけでない。世界で繰り返される原発事故

アジア諸国は最近の経済の好調さを背景に原発の依存度を高めています。世界原子力協会(WNA)によると、現在世界で建設中の原子炉62基のうち40基はアジアにあり、中国だけでも建設中の原子炉は27基、進行中の計画は50基を超えると言います。これに次ぐのはインドと韓国で、各5基が現在建設中、両国合わせて約25の計画があるのだそうです。

一部、シンガポールやインド、タイのように、立ち止まり、日本の事故の教訓から学ぼうとする国もありますが、他の国は日本の事態を注視しながらも、原発推進の勢いは揺るがない状態であると言えるでしょう。
バングラデシュ原子力委員会は公式に「わが国の原子炉は第3世代。最大級の地震にも耐えることができる」と胸を張ったが、いつか来た道ということにならないことを祈るだけです。地震や津波、そしてメルトダウン…。誰も予想だにしなかったことが、世界各地で起こっており、その時点にならなければ人類は判断できないことなのかと考えてしまいます。

4、人類に原発を扱う資格はあるか

高レベル放射性廃棄物の処分については様々な方法が検討されました。かつて各国で実施されましたが1993年に全面禁止となった海洋投棄、一時的な中間貯蔵施設ではない地上施設による長期保管方法、
やはり禁止された氷床処分に始まり、大気圏外にロケットで打ち上げ太陽系の引力圏外に放出するという宇宙処分まで、様々な方法が考えられ、現在は基本的には地中埋設処分が各国で採用されていますが、それは畢竟、方法がないことで開き直ったともとれる対応で、何ら科学的根拠はないことです。

ここで少し原発の歴史を振り返ろうと思いますが、原発には僅か半世紀の歴史しかありません。1942年、米国シカゴ大学のエンリコ・フェルミが、実験炉で原子力発電の原理となる核分裂の連鎖反応に成功しました。そして1951年に発電を行った実験炉、EBR-Iが造られましたが、当初の発電容量は1kWでした。世界最初の原子力発電所は、1954年のソビエト連邦のオブニンスク原子力発電所[3]で、その後、ソ連、アメリカ以外に、イギリス、カナダ、フランス、ノルウェーなどで原子炉がつくられました。

しかし、人類は1952年にはカナダのチョーク・リバー研究所で、すでにレベル5の原子炉爆発事故を起こしています。以下に主な世界の原発事故(あくまで発表されたもの)を掲載すると、
1958年チョーク・リバー研究所(カナダ)、燃料損傷 レベル不明
1957年 ウラル核惨事(ソ連)レベル6
1957年ウィンズケール原子炉火災事故(イギリス)レベル5
1958年ロスアラモス臨界事故(アメリカ合衆国) レベル不明
1964年ウッドリバー臨界事故(アメリカ合衆国)
1966年エンリコ・フェルミ炉炉心溶融(アメリカ合衆国)
1969年実験炉爆発事故(スイス) レベル不明
1975年 グライフスヴァルト発電所火災(東ドイツ) レベル3
1977年ボフニチェ発電所(チェコスロバキア)レベル4
1979年スリーマイル島原子力発電所事故(アメリカ合衆国)レベル5
1980年サン=ローラン=デ=ゾー原子力発電所(フランス)レベル4
1983年臨界事故(アルゼンチン)レベル4
1986年チェルノブイリ原子力発電所(ソ連)レベル7
1987年ゴイアニア被曝事故(ブラジル)レベル5
1993年セヴェルスク爆発事故(ソ連)レベル4
1999年 東海村JCO臨界事故(日本)レベル4
2005年セラフィールド再処理施設(イギリス)レベル3
2006年 フルーリュス放射性物質研究所(ベルギー)レベル4
2011年福島第一原子力発電所事故(日本)レベル7
2011年福島第二原子力発電所冷却機能喪失(日本)レベル3
2012年カットノン原子力発電所(フランス)レベル2
2012年 古里原子力発電所全電源喪失(韓国)レベル2
2012年 東海再処理施設冷却機能喪失(日本)レベル1
2017年日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター被曝事故(日本)レベル2

こちらに列記したのは、すべての事故ではなく、あくまで判明しているもの、そしてその一部を羅列しました。実際はこれの3倍以上はあると考えられます。それで見ると世界中原発保有国のほぼすべての国が事故を起こす勢いです。また使用済み燃料廃棄についても、合理的な解決案をだすことすらできていません。つまり21世紀時点で人類は原発を持つ資格を有してはいないことの証左となるのではないかと思います。

更には人類が原発を持つための条件として、非科学的かも知れませんが、正直さが求められるかとも思います。原発を扱うのは社会的地位の高さが前提となります。事故があった時、その責任を回避するために詭弁を弄したり、誤魔化し逃げるのではなく、非を認め、正しい情報を流す為に身を削れる人格が求められるのかも知れません。ひとりひとりであれば可能なことも、人類は集団になると維持することは困難でしょう。原発に問題があるのではなく、それを利用、運営する人間に問題があるから、こうした原発事故は防ぐことができない。そう考えると、人類にはまだ原発を扱うだけの資格があるとは言い難いのではないかと考えます。

 

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